民主法律時報

労働相談懇談会(15年10月16日開催)報告

弁護士 谷  真 介

  労働相談懇談会は、おおさか労働相談センターと民法協の共催で約3か月に1度開催しています。毎回、おおさか労働相談センターの相談員や弁護士だけでなく、地域労組おおさかや大阪労連に加盟する産別労働組合の相談担当者も多数参加していただいています。

冒頭・恒例の西川大史弁護士の最近の労働裁判に関する情勢報告に引き続き、今回は、中西基・民法協前事務局長にお越しいただき、「メンタルヘルス不全と休職に関する諸問題」というテーマで、学習会を行いました。

最近では、ハラスメントや過重労働等によるメンタルヘルス不全に関する相談の一形態として、休職・復職に伴う会社とのトラブルが増えています。中西弁護士からは、使用者の休職命令権の有無、使用者の休職命令を行う義務の有無、休職中の賃金請求権の有無、休職後の解雇の有効性の判断基準やその実例、復職が認められる場合はどのような場合か、どのような場合にトラブルになるのか、その場合の対応方法や手段等について、法関係や裁判例(片山組事件最高裁判決その他)に基づいて、網羅的に、かつ各論点について掘り下げた実戦的な解説をいただきました。

参加者からも、「一般的には復職可能だが、医師からは当該会社に戻ると病状が悪化すると言われている場合にはどうすれば良いか」、「就業規則が存在しない場合に休職を命じないでいきなり解雇された場合は争えるか」、「復職の際に主治医の診断書だけではなく産業医の診断を受けるように言われた場合、従わなければならないか」、「復職後、長期間リハビリ出勤が続き元の職場に戻さないというのは許されるのか」、「復職可能の立証はどの程度の立証が必要か、どのような手段があるか」、「就業規則において休職期間が『1か月』という著しく短い期間が設定されており、休職期間満了後に復職困難だからという理由で自然退職とされたが、おかしくないか」等の活発な質問が出され、講師を交えて、参加者皆で議論・意見交換をしました。休職・復職は身分にかかわる問題であり相談担当者としても慎重に対応しなければいけませんが、現場での即時の対応が求められる場面もありますので、今回の学習会は貴重な講義、意見交換となったと思います。

なお、その他、学習会のテーマに拘らず、現場の相談員の方から、現在、地域労組で取り組んでいる事案での対応について相談が出され、意見交換をしました。
労働相談懇談会では、毎回、色々なテーマで普段の労働相談で悩んでいる事例を題材にして学習会や意見交換をしており、大変有意義なものになっています。次回は来年1月21 日午後6時30分より国労会館において開催します(テーマは未定、希望があればぜひおっしゃってください)。多数のご出席をお待ちしています。相談事例もどんどん持ち込んで下されば幸いです。

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