民主法律時報

2019年第1回新人学習会のご報告

弁護士 足立 敦史

 2019年1月30日、大阪弁護士会館904号室にて2019年新人学習会が開催されました。講師は須井康雄弁護士で、参加者は新人弁護士3名、弁護士3名、組合の方2名、司法修習生2名でした。
須井先生には、「労働相談入門講座」というテーマで講義いただき、労働問題について法律相談を受ける上で注意すべきポイントや確認すべき事項を横断的にお話しいただきました。個々の論点について、司法試験で必要とされる知識は一定程度はあるものの、法律相談を受ける上で必要なことはまだまだ勉強不足であることが確認でき、極めて有益な時間となりました。

まず、労働相談では、相談に来られる方は、精神的ショックを受けていることが多く、通常の法律相談よりも相談者から「聴く」姿勢が大事であることを学びました。相談者の勤務する会社の組織について部、課、係等から先輩・同僚・部下等の人間関係等まで把握すること、相談者の会社における位置づけを1日の仕事内容から職場の間取り等にいたるまで具体的に確認することが重要であることを教わりました。
当事者を把握すると、次は労働契約の内容、「労働者」(労働基準法、労働組合法)を確認する必要があります。
その上で、問題となっている出来事を証拠とともに時系列で確認し、その際には、事実と評価を区別することが特に大事であることを学びました。

総論として、法律相談に共通する事項を学んだ後、紛争類型別に、解雇・雇止め、賃金、いじめ・ハラスメント、労働災害について個別に検討しました。
解雇・雇止めでは、労働契約法18条の無期転換等の改正点について、退職では、「退職届」と「退職願」の違いや離職票の「退職」という終了事由に異議を記載することが重要であること等実務で使える知識を学び、山梨県民信組事件(最判H28・2・19)について検討しました。
賃金でも、付加金請求は2年の期間制限が除斥期間であって内容証明を出しても中断しないこと、高度プロフェッショナル制度のあらまし、法令上の割増賃金率の改正、労働時間の把握方法等、法律相談を受ける上で重要な事項について学びました。
最後に、解決方法の選択として手段の選択、相手方の選択、法律構成の選択等、方針決定をする上で不可欠な事項を教わりました。

今後、新人学習会は、3月27日に「残業代請求」のテーマで渡辺輝人弁護士に講義をいただき、4月以降に職場見学を行う予定です。新人弁護士だけでなく、先輩会員の皆様もふるってご参加いただきたいです。

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