あの空へ帰ろう! 誇りを持って働きたいから!――JAL争議と航空政策を考えるつどい

2013年03月25日

関空プロジェクト会議事務局

 2013年3月15日、民主法律協会関空プロジェクト会議(以下、関プロ)は、JAL不当解雇撤回をめざす大阪支援共闘会議とともに、「JAL争議と航空政策を考えるつどい」を大阪市内で開催しました。JAL争議を支援する労働組合、民主団体、法律家など160名が集まりました。
 関プロはこれまで、規制緩和の下での航空労働者の働きかたや安全を脅かす実態などを催しで取り上げてきましたが、2010年末にJALが整理解雇を強行した後での本格的な航空政策の分析は初めてです。

 講演は、中川明さん(航空労組連絡会元副議長・現在は政策委員)が「格安運賃は何をもたらすか」と題して、LCCのこの1年を振り返りました。
 中川さんによると、当初、大手エアラインに比べ、燃料費・機材稼働率・退職者の年金負担の少なさ等で優位に立っていたLCCは、大手エアラインのリストラが進み、差がなくなってきたため、その成長が止まっています。将来的にLCCは利用率が高い一部の需要だけを満たす存在になると予想されます。一方、日本では、全日空・日航の大手2社が、系列のLCCを作り、航空政策の自由化に乗って便数を増やしてきています。しかし、LCCの中でも、順調なピーチと苦戦する他社とで差がつき始めています。ピーチの成功の秘密は、顧客ターゲットを女性層に絞っている点にありそうだとの話でした。
 続いて、中川さんから「B787事故の背景」と題して、今年1月から事故が相次ぎ、鳴り物入りの運行開始からすぐに全面運行停止されてしまったB787の事故原因について報告がありました。特にB787で初めて航空機に導入されたリチウムイオン電池については、ショートが起こることで過熱、発火の危険性がかねてから指摘されていたそうです。実際、試験段階で、試験施設が全焼していたにも関わらず、その原因を特定せず導入したとの報告には驚かされました。

 中川氏の講演に続いては、航空連スカイネットワーク大阪支部長の赤田克彦さんからLCC体験搭乗の報告がされました。
 今回、関プロのメンバーは、JAL訴訟の原告の方とともに、関空発のピーチアビエーション機の日帰り体験試乗を行いました。関プロの弁護士・労組員メンバーが実際、スマホやパソコンから、チケットを購入するところから、やってみました。全員で示し合わせ同一日に購入したにも関わらず、購入金額は全員バラバラになりました。これは、購入が集中すると売り出し価格を上げ、購入がないと下げるピーチの価格設定によるものです。それ以外にも、取り消し金額の高低(ピーチは払い戻しは不可です。)、保険をつけるかどうかでも運賃が異なります。また、サイトでの購入手続きで、いちいち、こういったプランの選択を行わなければならず、パソコンに慣れていない一部参加者は苦戦したそうです。ただ、一番安く買えた参加者は、6000円あまりで関空と福岡の往復のチケットを買えました。これは、新幹線の運賃などと比較すると相当格安です。
 搭乗したのは2012年3月5日の福岡便の往復でしたが、座席は大手とそう大差がなく快適だったそうです。CAは4名の搭乗でしたが、サービスを行いながら積極的に回収を行うなど、清掃等の時間短縮のためと思われる工夫がされていました。ちなみにCAたちは全員、3年あるいは5年の期間雇用の契約社員で、期間延長はない契約だそうです。若いCAたちがキャリアを積んで、ピーチで働き続けたいと思ったとしても、先々働き続けられなくなるのだろうか、という疑問を持ってしまいました。CAのサービスに問題は全くありませんでした。

 赤田さんの報告のあとは、原告本人たちからの報告が続きました。まず、航空連議長で原告の近村一也さんからは、20分ほどの報告がありました。その半分は、近村さんの個人的な話と題して、羽田沖や御巣鷹山の事故の時期に、入社から訓練そして新人として働いておられたことの話がありました。また、海外に単身赴任して働きながら、日本に帰国しては解雇撤回のため、各地を奔走している近況も報告されました。原告たちは、このJAL争議のことを知ってもらい、活動の応援を得るために、全国を走り回っています(その状況は、ウェブサイトやSNS、You Tubeなどで逐次報告されていますので、是非検索してください。)。そして残り半分は、高裁での公判の状況が報告されました。高裁は次回5月に、パイロット・客室乗務員それぞれの控訴審の3回目の期日が開かれます。高裁で充実した審理がされるかの正念場に差し掛かっています。近村さんからも更なる支援の訴えがありました。
 さらに、この日は、JALの不当解雇に先んじて、契約制CAの雇い止めの訴訟を闘っている、原告本人(氏名等非公表)も東京から駆けつけて、支援を訴えました。3年の契約期間中に雇い止めをされたのは彼女一人だそうなのですが、多くの彼女の同期が、期間なしの正式採用に移行せず、3年でJALを去っていることの報告がされました。若年もベテランも問わず、会社の都合で使い捨てるJALの体質に驚かされました。会場からは一人闘う彼女に温かい支援の声が届けられました。
 最後に壇上に、原告が一同に並び、会場参加者全員で、JAL訴訟勝利に向けての団結がんばろうが行われました。JAL原告は、高裁での逆転勝利に向けて、毎日がんばっています。皆様からの物心ともにの篤い支援の継続をお願いいたします。