若者に“ディーセント・ワーク”を ―大阪青年大集会2011レポート

2011年10月26日

地域労組おおさか青年部 松 田 明 功

 去る10月8日、大阪はじめ関西各地の若者が集う大阪青年大集会2011が、大阪市立中央区民センターで開かれました。ブラック企業の増加、長時間労働や解雇、就職難と、若者を取り囲む環境はその厳しさを増す一方。進学・就職・結婚・子育てといったありふれた生活設計もままならないこの苦境をどう打開するか、手を携え思いを共有する場として、160人もの若者が集いました。
 集会冒頭、実行委で大阪労連青年部の波見健一部長が「ここには同じような悩みをもつ青年がいて、共有できる人たちがいます。そして、私たち一人ひとりがつながって、社会を変える第一歩にしたいと思います」と挨拶。その後、地域労組おおさか青年部・大阪労連青年部・民主青年同盟から、活動を通じて見えてきた若者の課題が紹介され、その課題のたたき台としてワークショップ「ワールド・カフェ」が行われました。
 企画者である地域労組おおさか青年部の中嶌聡書記長が解説。ワールド・カフェはカフェのようなくつろいだ雰囲気の中で、テーマに沿った意見や思いを語り交流するプログラム。この日は「働き方・生活について感じている不安・不満は?」「解決のために組織や人はどんな役割を果たすべきか?」といったテーマでグループに分かれ、大きな模造紙にそれぞれ意見や思いを書いていきます。
 グループは30となり、かなり大規模なワールド・カフェに。「労働時間が長く人とつながれない」「疲労でミス連発」といった働き方の現状から「自分に権利についてもっと勉強すべき」「選挙へ行こう」といった解決のための行動、さらには「彼氏が欲しい!」といった切実な(?)願いまで、さまざまな言葉が綴られ、会場は議論の活気に包まれました
 ちなみに私が参加したグループでは、職場で「社会保険て何ですか?」と尋ねる新入社員がいたエピソードが紹介されました。権利への感度が鈍っている以前、権利の自覚そのものが育まれていないことにメンバーそろって嘆息。権利を教えることになおざりな日本の公教育の問題にも議論は及びました。
 こうした交流で問題意識を新たにした後、首都圏青年ユニオン書記長の河添誠氏の講演へ。河添氏は原発問題に触れ、原発労働は事故の有無に関わらず被曝を伴う労働であり「常に健康を損ないながら働かねばならない一点においても原発はなくすべきである」としました。
 憲法27条の「勤労の権利」とは「まともな仕事に就く権利」であり、健康を損なう仕事は「まともではない仕事」です。河添氏は「被曝労働と同様のまともではない仕事が社会に蔓延している。耐えられないと思ったときにそうした仕事を退職する自由があることが絶対必要条件」として、ユニオンの活用、労働法改正、セーフティネット・職業トレーニングの拡充などの対策を提示。ニューヨークから全米に広がった「ウォール街を占拠せよ」運動の例に、声を上げ連帯する大切さを訴えました。
 続くリレートークでは各団体からの代表者が、職場の問題点や改善に向けた取り組みを当事者の立場から紹介。私たち地域労組おおさか青年部からは平田未央さんが登壇し、サービス残業など不明朗な雇用契約が常態化していたばかりか、詐欺にあたる違法な業務まで強いられていたことを告白。退社して組合に加入し、組合員とともに団交に臨んで勇気づけられたこと、青年部員との交流を通じて前向きになれた思いを発表し、ひとりでは無力でも手を携えれば大きな力に生むことを印象づけるエピソードとなりました。
 そして最後はアピールウォーク。私たち青年部では、街行く人達とパレードの間の垣根をいかに低くするかアイデアを出し合い、従来型のデモにはない形を目指しました。シュプレヒコールを繰り返すだけでは周囲から共感が得づらいため、参加者に大会の感想や仕事の上で感じた疑問をインタビューすることで、街行く人達の目線と同じ言葉をアナウンス。自分たちにも大いに関わる活動だと感じ取ってもらうことを目標としたのです。
 「ディーセント・ワークとは何か?」をテーマにメッセージを書いたプラカードをそれぞれに掲げ、御堂筋を南下し難波までを練り歩きました。自身がいた職場の劣悪ぶりを訴えたり、「サービス残業したくない!」とコールしたり、あるいは音楽に合わせて体を揺らしたり沿道に手を振ったりと、とにかく賑やかにパレードを楽しみました。飛び入り参加者といううれしいアクシデントもあり、参加したくなるデモ、興味を呼び起こすデモを目指した私たちの試みは一定の成功を収めました。
 陽もとっぷりと暮れた難波でパレードを流れ解散し、すべてのプログラムを終了。多くの参加と協力に支えられたこの大集会は、10月23日に東京・明治公園で行われる全国青年大集会のプレ企画という位置づけでしたが、“プレ”と冠するには惜しい、充実した1日となりました。
 社会構造に変化の胎動が生まれ、東日本大震災と原発事故という未曾有の危機を経てその変化は加速しています。この大会が今後、そうした変化をさらに大きなうねりへ昇華させる触媒になることを願い、また若者のパワーと感性が不正に抑圧されることなく飛躍する社会、その実現のための活動のさらなる進化へ、思いを新たにしました。