民主法律時報

第51回働くもののいのちと健康を守る学習交流集会

大阪労働健康安全センター 事務局長 鈴木 まさよ

 第51回働くもののいのちと健康を守る学習交流集会は、2018年12月17日(土)に「職場に持ち込ませない安倍『働き方』」というテーマで国労大阪会館で開催され68名が参加しました。午後の分科会には、「職場のメンタルヘルス」に25人、「安全問題」に13人、「安全衛生活動」に17人が参加しました。

午前の記念講演は伊藤大一氏(大阪経済大学準教授)が「労働運動を活性化させる新たな潮流―アメリカにおける最賃15ドル運動からの示唆―」というタイトルで講演を行いました。伊藤氏は2年前の研究留学の体験からアメリカのファーストフード労働者の最賃15ドル運動やアマゾンへの直接行動、生徒や保護者も参加した教員ストライキなど映像を交えて紹介しました。アメリカでは組織率の低下に歯止めがかからない中で「社会正義の実現」による組織の影響力拡大へと運動の流れを変え地域のコミュニティーや宗教団体、NGOと連携しながらこれまで顧みられてこなかった女性やマイノリティー、低賃金労働者を対象に広げていっています。日本でも若者への世代継承や組織拡大は大きな課題で、従来の戦術を見直し対象と獲得目標を絞り込みマスコミを効果的に使うことで社会にアピールするという戦術は教訓的です。伊藤氏は大学で組織化のワークショップを行っており話し合いを通じて解決を目指す方法を採用し今話題の『職場を変える秘密のレシピ47』の書籍を紹介しながら、「トライ&エラー」(失敗するのを許す環境を作る事)が大事だと締めくくりました。

午後は3つの分科会がもたれ、第1分科会では大阪職対連の福田茂子さん(産業カウンセラー)が「職場のパワーハラスメントを考える」という基調報告を行った後、職場の現状を出し合い交流しました。第2分科会では「職場に安全文化をきずこう」と化学一般関西地本顧問の堀谷昌彦さんが基調報告を行い、JMITU日立建機ティエラ支部と全港湾築港支部から支部の活動、自公総連大阪地連から「バスの重大事故とその背景」について報告しました。第3分科会では全労働大阪基準支部の丹野弘さんが「「働き方改革関連法」の成立と労働組合に求められるこれからの役割」について基調報告を行い、茨木教職員組合と化学一般関西地本ダイトーケミックス支部が報告を行いました。

「時代に合った新しい『戦術』で組合運動をすすめていく事に共感が持てました」「自分と違う職種の活動内容など色々な話を聞けて大変ためになりました」「学校職場の状況はひどい。自己責任論の広がる恐れも感じた」等多くの感想が出されていました。

いの健集会は、5団体による実行委員会で準備を積み上げ秋の一日開催が定着してきており、職場の働き方がますます厳しくなる中で単産や地域、職場の労安活動を学習交流する有意義な場となっています。日程や内容を工夫し今後も学習と活動交流を大切にしていきたいと思います。

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