民主法律時報

派遣研 読売テレビ訪問 報告 ~非正規労働者の現状・テレビの舞台裏を学ぼう~

弁護士 大久保 貴則

1 はじめに
派遣法改悪から3年が経過しようとし、個人単位・事業所単位の期間制限が直前に迫る中、2018年9月25日、派遣研の企画で読売テレビを訪問してきました。派遣研から4名の弁護士、新入会員の弁護士2名、そして 期修習生の計7名で参加しました。

2 訪問内容
まずは、労働組合の書記室にて、村田浩治弁護士から「『派遣』労働の法律問題と労働組合の役割」と題して、派遣労働者に関する法規制等について解説していただきました。講義では、そもそも労働者の権利とは何なのかという基本的なところから、派遣法改正の歴史やそれらによって現在どのような問題があるのか、それに対して労働組合としてどのように対応すべきかということまで幅広く解説していただきました。
特に、2015年改正法の施行から3年目にあたる時期であったため、個人単位・事業所単位の期間制限などについて詳しく解説していただきました。
参加されていた社員の方は、派遣社員ではなく業務委託によって勤務する方々でしたが、村田弁護士の講義後には、自身の置かれている立場は法的にどのように解されるのか等の質問がなされ、予定時間をオーバーするほどの盛況ぶりでした。

次に、参加メンバーが2組に分かれ、読売テレビ内の見学ツアーと労働者の方からの個別相談会を行いました。
見学ツアーでは、マスター室や実際の番組のスタジオなど普段テレビで見ている番組の裏側をふんだんに見学させていただきました。ツアー案内をしてくださった方がサービス精神旺盛だったためか、前回読売テレビを訪問したときよりもたくさんの場所を見学できたそうで、2度目の参加であった弁護士も大満足の様子でした。

個別相談会では、計11名(うち組合員は1名)の労働者の方からの相談を受けました。読売テレビでは分業が進んでおり、読売テレビ社員ではなく、関連会社や他の会社に業務委託をしていることが多く、今回相談に来られた方々も業務委託の方ばかりでした。相談内容としては、有期契約社員と無期契約社員との間の待遇の差という均等待遇問題だけでなく、先の自然災害(大阪北部地震や西日本豪雨)の際の会社の対応への不満などタイムリーな労働相談が多くありました。
個別相談会を通して、自身の置かれている現状を打破するため労働組合への参加を検討し始めた方もいましたので、今後民法協への相談もあるかもしれません。

3 おわりに
私は、派遣法の問題については、受験時代に簡単に勉強した程度で実際の現場での問題を聞くのは初めてでしたが、今回の訪問を通して、派遣や業務委託の労働者の実態を少し学ぶことができたので、今後も継続して勉強し、労働問題解決の一助となれればと思います。
企画してくださった派遣研のみなさん、ありがとうございました。

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