公務労働者の使い捨ては許されない! 吹田市非常勤職員雇止め事件

2013年05月27日

弁護士 河 村   学

1 事案の概要

 本件は、吹田市の非常勤職員として、21年ないし25年間継続して働いてきた原告ら2名が、2012年9月30日に、雇止め(再任用拒否)された事案である。
 原告らは、1987年及び1991年採用。いずれも吹田市立総合福祉会館で、高齢者・障がい者を対象としたデイサービス事業に従事してきた。同事業は全国にも先駆けた吹田市独自の事業として開始され、高齢者については介護保険制度が定着するまで、障がい者については現在に至るまで、民間には真似できない公務、生活困難な地域住民に豊かで文化的な生活を保障するための公務として、継続して実施されてきた。その中で原告の2人は同事業の立ち上げから、正職員と一緒になって同事業を支え、その中心的な役割を担ってきた。
 ところが、吹田市は、利用者の利益や気持ちも考えず安易に同事業の民間委託に踏み切り、それと同時に、長年にわたって吹田市の公務に従事してきた原告らを、「非常勤職員」であるという理由のみで雇止め(再任用拒否)を行った。


2 本件雇止め(再任用拒否)の実質的な問題点

 (1)  本件は、正職員と同様に働いてきた非常勤職員を差別的に雇止め(再任用拒否)したものである。
 吹田市は非常勤職員を常勤職員(正職員)と同様に使用してきており、その職務は恒常的なものであった。また、非常勤職員の更新手続は形骸化し、経験年数加算が設けられ、60歳を超えても就労を継続するなどの処遇がなされていた。さらに、非常勤職員の担当業務が廃止される場合にも配置転換が行われるなどしてきた。このような就労実態のもと原告らは21年ないし25年間継続して働いてきた。
 にもかかわらず、吹田市は、正職員については他部署に配置転換し、非常勤職員はその努力も行わずに雇止め(再任用拒否)したのである。
 
(2)  本件は、吹田市自らが法の趣旨に逸脱する行為をしておきながら、これを利用して雇止め(再任用拒否)したものである。
 吹田市は、これまで非常勤職員を使い勝手のよい安上がりの労働力として活用してきており、2012年4月1日現在では、正職員3018人に対し、非常勤職員609人、臨時雇用員1436人にまで増加させてきた。近時は、正規職員・非常勤職員を減らし、さらに雇用条件の悪い臨時職員への置き換えを進めている。
 しかし、原告らのような恒常的職務に長期間就労する非常勤職員や臨時職員はそもそも法律上予定されておらず、常勤職員(正職員)として雇用(任用)されるべきものであった(この場合、分限免職処分はそう簡単にはできない)。
 にもかかわらず、吹田市は、法の趣旨に反し行ってきた期間雇用(任用)という形式を利用して雇止め(再任用拒否)を行った。
 
(3)  本件は、吹田市が、原告らが公務員であるということから、原告らの生活・権利に配慮することなく、漫然と雇止め(再任用拒否)をしたものである。
 民間であれば、本件のような雇止めは、労働契約法  条により、許されないことは明らかである。しかし、過去の裁判例では、公務員は「任用」という法形式をとっており、契約に関する規制は適用されないという考えをとるものがある。
 そこで、吹田市は、この過去の裁判例に依拠して、公務員の雇止め(再任用拒否)には何ら法的な制約はないという立場で、これを回避するための努力をほとんど行うことなく、漫然と雇止め(再任用拒否)を行った。
 
(4)  このような雇止め(再任用拒否)に対して、原告らは、吹田市における非常勤職員の具体的な就労実態や生活実態、自治体における役割、労使交渉の経緯等を主張・立証し、このような就労を行ってきた原告らを合理的理由なく雇止め(再任用拒否)することは違法であること、民間において認められる労働者保護が、このような就労をしてきた非常勤職員は及ばないという実質的理由はないことを訴えていきたいと考えている。
 本件は、公務員の任用一般の問題ではなく、常勤職員(正職員)と同様の就労実態がありながら、法の趣旨に反して形式的に非常勤職員として扱われてきた労働者をいかに救済するかを問うものである。


3 提訴と今後のたたかい

 本件は、2013年3月28日、大阪地方裁判所に提訴された。
 自治体により使い勝手のよい労働力として法の谷間に押し込められ、民間労働者よりも無権利な状態に置かれている自治体非正規労働者のため、また、正職員も含めた職員全体の労働条件の向上、市民生活の向上のためにも、広く連帯した取り組みが求められる。

(弁護団は、豊川義明、城塚健之、中西基、谷真介、楠晋一、河村学)