2012年権利討論集会を開催

2012年02月29日

事務局長・弁護士 増 田   尚

 2月18日、19日の2日間にわたって、琵琶湖グランドホテルで、2012年権利討論集会が開催されました。当日は大雪に見舞われましたが、200名を超す参加者による討論で熱気にあふれた集会となりました。
 冒頭の城塚幹事長によるあいさつでは、この間の橋下市長による思想調査まがいのアンケートに対し、労働組合、学者、弁護士の共同体である民法協の特質を遺憾なく発揮し、即時に対応した中で、抗議の声が広がり、野村特別顧問が「凍結」を言い出すに至ったことがふれられました。
 全体会の記念講演では、山家悠紀夫さん(暮らしと経済研究室主宰)に、「東日本大震災後の日本経済~経済・財政・生活の再建のために~」と題して、集会直前に閣議決定された「社会保障と税の一体改革」や、TPP、震災復興などの日本経済の課題について、明快に分析いただきました。震災後の緊急の課題として原発事故の収束と脱原発への転換を指摘し、すでに原子力発電所54基のうち3基のみが稼働している状態であるのに、何ら電力需要の不足は生じていないとして、原発ゼロは実現可能なことが証明されていることを明らかにしました。また、復旧・復興の課題と、震災前から持ち越しとなっていた暮らしと経済の課題について峻別し、火事場泥棒的になされる復旧・復興に名を借りた「改悪」を警戒すべきであり、特に、「復興増税」と言いながら、実際には、減税とセットで見れば、法人税による企業負担は減っていることを指摘されました。
 次いで、社会保障と税の一体改革についても、消費増税などの負担増に一方で、年金給付額の引き下げが盛り込まれ、更には、外来受診時の定額負担制や、生活援助の提供時間を60分から45分に削減、ケアプラン作成の有料化、年金支給開始年齢の引き上げなどの給付削減が企まれており、暮らしをますます厳しい状況に追い込む失策であると明言されました。消費増税については、逆進性や利益のない事業者へも負担を強いるものであり、景気を悪化させる愚策であると指摘されました。
 また、TPP参加については、南北アメリカで地位が低下したアメリカが、日本を巻き込んで、アジア太平洋地域に乗り込む足場づくりがねらいであると指摘し、日本にとっては、すでに非農産品の関税率が先進国中最も低く、世界一の農産物純輸入国であって、これ以上の「開国」は必要ないこと、EPA等の2国間協定で十分対応可能であり、他方で、アメリカンスタンダードの押しつけにより、暮らしの安心安全、国民の権利や財産が危うくなる「壊国」への道であると警鐘を乱打されました。
 このように間違いだらけの野田政権の経済政策に対し、山家さんは、暮らしをよくし、日本経済を再生するために何が必要であるかについて、賃金の引き上げと社会保障の充実が必要であることを指摘されます。昨今の経済論が、国民のニーズや暮らしの実態から出発するのでなく、国家の側の都合から語られることへの異常さを指摘しつつ、財源問題についても、日本の「金余り」の状況を具体的なデータでもって告発し、負担能力のある企業への負担強化に優先的にとりくむべきことを強調されました。
 目前の春闘をはじめとして、労働者からの賃上げや労働条件の改善要求に対し、企業側は、国際競争力の強化や景気の悪化を理由に、これを頑として拒否する傾向にありますが、富の分配・再分配が可能であり、そのことが暮らしと経済を再建する道であることに確信を持つことができたのではないでしょうか。
 全体会の特別報告は、1日目に、市職員へのアンケート問題等(竹村博子さん・大阪市労組委員長)、泉南アスベスト国賠訴訟(山田哲也・原告)、JAL訴訟(西岡ひとみ・小森啓子・原告)、北港観光街宣禁止仮処分勝利(松澤伸樹・建交労府本部書記長)、2日目に、共通番号制(坂本団・日弁連情報問題特別委副委員長)、過労死防止基本法(岩城穣・過労死防止法制定実行委事務局長)、有期労働契約法制(楠晋一・事務局員)、教育基本条例案(末光章浩・大教組副委員長)の8本がなされました。また、「教育基本条例案・職員基本条例案の撤回・不提出を求める決議」、「真の有期労働契約法制を求める決議」、「大阪・泉南アスベスト国賠(第1陣訴訟)大阪高裁不当判決に抗議する決議」の3本が採択されました。
 全体会や分科会を通じて、各団体や各委員会・研究会での日ごろの活動の成果が持ち寄られ、交流を図ることができたことは、権利討論集会の大きな魅力の一つだろうと考えます。この魅力がますます発揮でき、たくさんの方に明日の活動への意欲を高めてもらうことができるよう、今後も、運営の改善に努めてまいりたい所存です。

各分科会の報告 


第1分科会
①リストラ、合理化攻撃とどう闘うか ②労働委員会における闘いを職場で、団体交渉で、どう活用する

 報告:弁護士 菅野 園子

 今年の第1分科会では、1日目は、リストラ合理化攻撃とどう闘うか。「整理解雇」との闘い。というテーマで、2日目は、労働委員会をどう活用するのか。というテーマで討論をしました。
 1日目は、1審で敗訴後2審で逆転勝訴した飛翔館事件、今年3月29日、30日に判決を迎えるJAL不当解雇撤回裁判原告から発言をいただきました。
 飛翔館事件高裁判決については、正規労働者を整理解雇して、賃金の安い非正規労働者にかえるという方法で人件費を削減することは原則許されない。団交によって妥結出来ない可能性があったとしても、整理解雇のような労働者に重大な不利益を生ずる法的問題については関係当事者が十分意思疎通を図り誠実に話し合うということは公の秩序であると認定された部分は他の整理解雇の事案においても非常に使えるという下迫田浩司弁護士の発言がありました。飛翔館事件の原告からも、裁判で勝訴するために、いつ、どこにどのタイミングで署名や葉書、チラシなどの宣伝活動を行うかについてはかなり位置づけて時宜に応じた宣伝活動を行ったという発言がありました。同じく弁護団の山﨑国満弁護士からは、こういうすばらしい先生が解雇されていいはずはない、整理解雇の形はとっているが、実際は不当解雇だという確信をもって事件にあたったという発言が印象的でした。JAL事件原告からは、今ベテランが切られて職場の指導もおかしくなっている実態やどのような運動を進めているかについて報告と支援の呼びかけがありました。
 2日目については、INAX事件では河村学弁護士より、ビクター事件の当該組合より発言がありました。INAX事件では、最高裁判決に至るまでの7年間脱退者を出さずに団結を維持することができたということと団結をしたために、団交は拒否するも会社にとって無視できない存在になったということを述べられていました。ビクターにおいても、2月21日の判決に備えて様々な要請活動を行っていることの報告がありました。讀賣テレビ放送事件の当該組合からは、昨年地労委で不当労働行為救済命令が出されたにもかかわらず、会社は遵守せず、それに対して何らペナルティを課されない現状は極めて問題である旨の発言がありました。NTT事件西日本団交拒否事件については、河村武信弁護士より  年間の闘いを振り返って、総括的な発言がありました。
 全体的な発言をまとめると、労働委員会のメリットとしては、裁判所がなかなか理解しない不当労働行為という概念を正面から取り上げてくれることである。飛翔館事件では、懲戒処分の濫用ということは認められても不当労働行為であるかどうかは判断しなかった。労働委員会の手続を通じて、労働者側が理論的な正当性を取得していくということでは大きな意味はある。労働委員会の手続で、労働者が会社に詰め寄っていけるということの意味や、委員のあっせんで、最終解決に持っていける場合もある。運動と連動させながら、労働委員会の手続を使っていくことには大きな意義がある、申し立てて損はないという積極的な意見もありました。
 一方で、労働委員会の命令については、命令を守らないことに何ら罰則が課せられていない、地労委から中労委、裁判所と5審制になっているという現状はきわめて問題である。団交拒否というのは、まさにその場で発生をしている問題なのになぜ、解決に何年もかかるのか。緊急命令も発令されているが、INAXでは無視されている。制度的な問題にも民法協として取り組んで行く必要はあるのではないかという問題提起もされました。労働委員会について、突っ込んだ議論ができ大変意義のある分科会でした。


第2分科会 
非正規労働者の権利を守るための組合活動を考察しよう

報告:弁護士 楠 晋一 

 第2分科会の初日は模擬団交と派遣と有期雇用について基調報告がなされました。
 模擬団交は、担当事務局が作成した事案、①派遣職員が労働条件について派遣先に団体交渉を要請する、②有期職員がセクハラを受けたとして会社に団体交渉を申し入れる、を基に、クイズを用意して参加者に質問し、参加者から回答してもらうという形式をとりました。
 事案があまりに練れていなかったこともあって、参加者から司会に対する逆質問が多数なされるなど、参加者からいろんな意見を頂きました。そんな中、村田浩治弁護士、中村和雄弁護士、労働安全センターの北口修造さんなどから、派遣元と派遣先それぞれに対する団体交渉申入れの必要性、組合を通さずに会社が組合員に直接接触を図った場合の対応の仕方といった、団体交渉する際の具体的な戦略について様々な意見が出されました。
 また、セクハラの問題については、有村とく子弁護士から、組合に男性社会の側面があるという指摘とともに、組合員がセクハラ問題に取り組むときは、働く仲間の権利が侵害されているという意識で取り組んでほしいという心構えを語っていただきました。
 2日目は、当該からの事件報告と非正規として働くことの辛さを当事者や組合、弁護士からそれぞれの立場で語ってもらいました。
 当事者からは、①賃金格差や雇止めの不安だけでなく、非正規だということで軽く扱われること、非正規だからやらなくてよいと仕事の制限を受けることでキャリアアップの妨げとなることへの不満、②低賃金の結果として将来的に厚生年金が受けられないことによる個人や国家の経済的な不安、③外注や子会社化することで組合員を増やさないようにする労務管理に対して、組合としてどう立ち向かうのか(不当労働行為といえないか)、④当事者が闘争中に病気や怪我をしたときへの備え(組合が主導する共済制度の必要性)、⑤事件が起きるまで組合に来てもらえない現状をどう改善するか、また事件が終わった後に組合に定着しない状況をどう改善するかなど様々な意見や問題が提起されました。
 十分な議論の時間が確保できないなど進行上の問題はあったものの、会場からの発言が多く活気に満ちた分科会だったと思います。分科会での問題提起をその場限りで終わらさずに継続的に議論ができるような場の設定やそれに向けての各自の努力が必要だと感じました。


第3分科会 
KAROSHI(過労死)の無い時代を目指して

報告:弁護士 上出 恭子

 ■映像の紹介・松丸正弁護士の報告
 分科会の冒頭では、1ヶ月の労働時間が500時間を超えるトラック運転手(  歳)のドキュメンタリー映像「フツーの仕事がしたい」に関するニュースで始まった。主人公(歯は抜け、顔色は土色で、とても  歳には見えない疲労感があふれる。)が労働組合に入り断交をする最中、病に倒れる。仲間とともに別会社を立ち上げて「フツーの仕事」を手にする場面で終わるものの、現代日本版「奴隷労働」ともいえる過酷な労働実態は痛烈な印象を残した。
 引き続いて、「大庄事件」のテレビ報道の紹介の後、事件を担当した松丸弁護士より、残業が  時間に満たない賃金分は基本給から差し引くという給与システム、そして、1ヶ月100時間の時間外労働を認める特別条項のある  協定が、過労死を生み出す大きな要因となったとの報告があった。
■各報告
 このような映像により長時間労働の実態を踏まえて、以下の報告がなされた。
 全印総連の村上さんから、  時間型社会が労働者の健康に悪影響を及ぼしていることについて、  立野嘉英弁護士からの新たに策定をされた「心理的負荷による精神障害認定基準」についての解説、  当職より、厚生労働省発表の「職場のいじめ・嫌がらせに関する円卓会議ワーキング・グループ報告について」の報告、  足立賢介弁護士より、過労死事案における不払残業代の逸失利益を算定の基礎に入れることについての論点の紹介、  新聞労連の伊藤明弘さんより塚野裁判の報告、  西垣迪世さんからの事例報告があった。
■労働運動総合研究所事務局次長・藤田宏氏の講演「働くルール フランス・イギリスの常識と日本の非常識」
 1日目は、日本の労働実態を検討した上で、2日目の冒頭には、藤田氏よりフランス・イギリスの労働実態に関する講演をいただいた。
 労働時間規制については、フランスでは、週  時間制(1時間から1時間半の休憩時間を含む)が実施されているが、その導入には、「労働力の安売りをしない!」という共通認識、労働時間の長時間化の導入を徹底阻止するという労働者の団結があることが紹介された。イギリスでは、時間外労働時間を含め週  時間が上限、隔日間の休憩時間として最低  時間をあける必要があるとのことであった。
 また、有給休暇に関する規定の解説もあり、仮に日本でフランスなみの有給を取得するとなれば、約200万人の雇用の創出が可能であるとの試算もあるとのことであった。
 過労死が生じない背景として、このような労働時間に関する規制の他、「富を創るのは労働者」「労働力の安売りをしない」という労働者の共通理念があるとの指摘が興味深かった。
 このような「働くルール」を守らない使用者はいるのではないかとの質問では、実態としては「労働者」であるのに、ルールの適用を受けない「非労働者」と扱って脱法行為をする者がいるとのことであった。
■過労死防止法制定に向けての取り組みの報告
 全国過労死家族の会代表世話人の寺西笑子さんから、いくら、事後に法的な救済が一定なされたとしても、「大切な家族は戻ってこない」という遺族の切実な思いから、過労死予防法に向けての取り組みが行われてきた経過、及び、2度にわたる院内集会の成功、100万人署名の取り組みについての報告がなされた。過労死予防の重要性が再確認された。
■ 討論・検討では、「働き方」ではなく、使用者に対して「働かせ方」を変えさせるための運動が重要だとの意見、アスベスト国家賠償の裁判でなぜ国を被告にするのか、という視点と過労死防止法の制定の視点は同じだとの指摘が印象深かった。
 現在の労働実態を認識する映像の紹介から、労働時間規制の視点では先進国といえるイギリス・フランスの労働実態の学習を踏まえて、過労死のために今何が必要となってくるのかについて一連の検討ができ、有意義な分科会であったと思う。
 参加者は、 27名であった。


第4分科会 
貧困を解消し、格差を是正するために―社会保障とセーフティネットの「あるべき姿」を考える―

報告:弁護士 大前 治

◆貧困・低所得の実態
 第4分科会には約20名が参加しました。
 前半では、貧困問題の実情や各団体の取り組みが報告されました。
 自交総連からは、「労働相談が半分、生活相談が半分」というほど労組として生活全般へのサポートを重視していると報告されました。多くのタクシー労働者は歩合制の低賃金であり、病気などの要因で直ちに貧困状態に陥る実態があります。それゆえに労働組合として休職・失職者の生活保護申請を援助するなどの地道な活動により、「労働組合に入っていれば、いざというとき助けてくれる」という信頼感を広げているとのことです。また、その信頼感が組合費の確実な徴収にもつながっているとのことです。
 全大阪生活と健康を守る会連合会(大生連)からは、経済的貧困にある人の多くは社会から疎外・排除されているとの指摘がありました。生活と健康を守る会に支援を求めてきた人のなかでも、後で連絡が取れなくなるケースがあり、孤立を深めている人が多いとのことです。
 コープしが労組からは、宅配購入をしている家庭のなかで、貧困により代金滞納になる事例を数多く見聞きしているとの報告がありました。特に滋賀県の山間部などでは、周囲に食料品店のない過疎集落などで、独り暮らしで買い物にも行けない人への支援が必要となっているとの発言も出ました。
 貧困をめぐる運動については、「観戦型ではなく参加型の運動が大切」という提起が大生連から出されました。市役所交渉などでも代表者だけでなく全員がマイクを握って、一人一人が自分の言葉で思いを伝えていくことが、その後に積極的な活動参加につながっているなどの成果が紹介されました。
◆社会保障と税の「一体改革」について
 後半では、野田政権が進めようとする「社会保障と税の一体改革」について議論されました。
 最初に、全厚生労働組合の方が作成されたパワーポイントを上映して、「一体改革」の問題点を学びました。そのなかで、歴代政府(自民党時代を含む)は「これからは3人が1人を支える騎馬戦型の社会」であり「支える側が少なくなるので負担が増大する」と宣伝してきましたが、それが実態とは異なることが指摘されました。データ上は「支えられる側」に区分される人のなかにも勤労者・高所得者・富裕層が存在しており、そのことを意図的に無視した数値が利用されていることが明らかになりました。
 自由法曹団からは、一体改革のための不可欠なツールとして「共通番号制」が導入されようとしており、その問題点を指摘していただくとともに、昨年9月にはシンポジウムを開催し、現在は国会議員要請に取り組んでいるとの報告がありました。
 2日間を通じて活発な議論が交わされるとともに、まだまだ「一体改革」や「共通番号制」の問題点を広く知らせていく必要があると再確認できました。


第5分科会 
橋下府政の3年9か月を検証し、松井府政・橋下市政のもと、住民の要求を実現する運動をどうつくるか

報告:弁護士 遠地靖志

 第5分科会は、「橋下府政の3年9か月を検証し、松井府政・橋下府政のもと、住民の要求を実現する運動をどうつくる」をテーマに討論しました。
 1日目は、府職労の小松康則書記長から、橋下府政の3年9か月の間に、トップダウンの徹底による府政運営のもとで府民の暮らしに直結する施策の切り捨てが行われていること、しかし、一方で、自治労連のアンケートなどで、地域医療・救急医療の充実や高齢者・障害者・子育て支援の充実を求めていることが報告されました。
 また、大阪労連から、大阪で労働者の貧困化がいっそう進んでいること、高卒の就職率の悪化で高卒と同時に失業者となる深刻な実態が報告されました。
 報告を受けて、参加者からは、周辺都市でも維新の会の市長のもと、市民生活切り捨ての政治が進行していることや、「若年者での破産が増えている。こうした貧困層が改革を求めて橋下氏を支持しているのではないか」「自分の周りにも、希望を持てなくて、年金保険料を払うのも大変という人もいる。自分たちのひどい状況の原因が正規と非正規の対立構造にあるかのように見せられている」などの発言がありました。
 最後に、大阪市労組の中山直和副委員長から、大阪都構想の問題点や大阪市の現状、アンケート問題についての報告がありました。
 2日目は、職員基本条例、教育基本条例について議論。最初に、大教組の末光章浩副委員長から、橋下府政のもとで、すでに「教育こわし」が進んでいること、教育基本条例は、「特定の政治勢力や財界に奉仕する人材」の育成を目的とし、目的を実現するために教職員を支配する体制をつくる点にあることの指摘がありました。また、遠地弁護士から2条例の法的問題点について報告がありました。
 報告を受けて参加者からは、「教育基本条例は、子どもたちに競争を持ち込むもので断固反対」「職員基本条例は、マスコミが『職員にも問題がある』などの報道がされるもと、市民に受け入れられ安い面がある。しかし、グローバル化のための市職員をつくることは、住民にも犠牲を強いるという点をもっと打ち出していくことが大切」「忙しくて保護者会に出られない親などにもどう伝えていくかが課題」などの発言がありました。
 最後に、梅田章二弁護士から、2日間の議論をふまえて、教育の問題でも自治体のあり方でも、大阪のグランドデザインを描きながら2条例反対の運動を進めていこうとの提起があり、分科会は終了しました。


第6分科会 
自由な街宣活動を守るために 

報告:弁護士 西川 大史

一 はじめに
 第6分科会では、「自由な街宣活動を守るために」をテーマに議論をしました。参加者は計20名です。
二 1日目の議論
 まず、大阪経済法科大学の丹羽徹先生から、「街宣活動」と憲法についてお話をいただきました。丹羽先生からは、表現の自由、とりわけ団体の自由としての表現の自由の意義、重要性について、歴史的経緯を踏まえてお話しいただき、集団的であるが故に社会との軋轢もあるが、にもかかわらず憲法が保障していることの意味について問題提起がなされました。また、団結権などは結社の自由獲得の歴史の中で中心的に位置づけられたものであり、労働者が団体で表現することは労働基本権の一部であり、国家はそれを積極的に保護しなければならず、また、その表現行為によって生ずる不利益に対して使用者は受忍義務があることをお話しいただき、表現の自由、労働基本権の意義、重要性について改めて学習、確認することができました。
 また、出田健一先生からは、北港観光バス街宣禁止仮処分事件について報告をいただくとともに、現在の裁判例の到達点、学説の議論状況等について詳細に整理していただくとともに、街宣禁止の仮処分が労働部に係属しない大阪地裁の運用についての問題点を指摘されました。
 さらに、徳井義幸先生からは、約  年前に担当されたひかみカントリー事件の経験を踏まえて、なぜ労働組合が街宣活動にまで至ったのかという動機、経緯を理解してもらうことの重要性について問題提起されました。
 その後、参加者からも、各労働組合での取り組み等について活発な議論、意見交換がなされ、街宣活動の重要性を改めて再認識するとともに、今後の闘い、運動を進めるうえでの確信(核心)を持つことができました。
三 2日目の議論
 2日目は、街宣活動に対する警察権力からの干渉、弾圧について、国民救援会の伊賀カズミさんからお話をいただきました。
 まず、これまでの弾圧との闘いについて紹介いただき、弾圧、干渉が近年増加しているという現状、干渉の態様等の分析や、警察権力からの弾圧、干渉に対しては、OJTのみならず理論的意義を学習することの重要性等についてレクチャーいただきました。また、街宣活動は「権利」であり、許可なく街宣活動を行うことが、街宣活動の自由を守るためにも重要であることも改めて確認することができました。
 その他に、ネット宣伝ではなく、ビラ配布、街宣活動をすることがなぜ重要なのか、民主主義とは何なのか、なぜ警察権力は弾圧、干渉するのか等について議論がされ、多くの参加者から意見が出されました。
四 さいごに
 この2日間の議論を通じて、街宣活動が憲法上重要な権利であるとともに、民主主義社会において重要な役割を果たしているかを改めて確認することができ、今後の運動に強い勇気と希望を持つことができたのではないでしょうか。
 近年、労働組合の街宣活動に対する制限や、警察権力からの弾圧干渉が増加しているという状況に鑑み、分科会だけにとどまらず、今後もさらなる議論、闘いを続け、弾圧、干渉に屈することなく自由な街宣活動を我々の力で守ることを参加者全員で確認することができました。


第7分科会 
これからの労働運動のかたち ~海外の運動を日本に生かす

 報告:弁護士 喜田 崇之

一 はじめに
 第7分科会は、「これからの労働運動のかたち~海外の運動を日本に生かす」と題し、主にアメリカで発生した「OCCUPY運動」について、学び、考え、討論を行うこととした。本分科会の主な目的は、「OCCUPY運動」についての討論を通じて、日本で新しい労働運動を作るきっかけとすることであった。2日間を通じて、31名の参加があった。
二 分科会の内容
(1)初日
 まず初めに、実際にアメリカで起きた「OCCUPY運動」の映像を放映し、運動の様子や、当事者のインタビューの話を聞いてもらった。
 次に、大阪市立大学経済学研究科チャールズ・ウェザーズ教授に、「OCCUPY運動」が起きるまでのアメリカの労働運動の歴史について、1時間ほど講義をして頂いた。
 続いて、アメリカのオークランド州に留学中の國本依伸弁護士とライブ中継を行い、オークランド州で発生した「OCCUPY運動」の様子や、現地の報道、住民の雰囲気・意識等について、報告して頂いた。
 その後、地域労組おおさかの中嶌聡さんがファシリテーターとなって、参加者に、「OCCUPY運動」について感じてもらったこと、学ぶべきところ、成功している理由等、各自の意見を出し合ってもらった。そして、それらの意見につき、日本にも取り込むことができる点はないか、実践できることはないか等の意見を出し合い、なぜ日本では同様の運動が起こらないのか等について議論がなされた。
(2)2日目
 2日目の最初は、地域労組おおさか青年部の松田明功さんから、「OCCUPY運動」を支えるツールであるソーシャルメディアについて総論的な話をして頂いた。
 その後、参加者を3つのグループに分けて、それぞれ「OCCUPY運動」の①「本質」は何か、②組織「運営」の在り方で学ぶべき点は何か、③情報等の「発信」の在り方について学ぶべき点は何か、をそれぞれのグループで議論した。
 グループディスカッションは、途中でメンバーを交代させながら、自由闊達に意見を出し合った。そして、それぞれのグループでどのようなことが議論をされたのか発表してもらい、参加者全員で意見を共有した。
 最後に、参加者一人一人が、この分科会で考えたこと、気付いたこと、これから考えていきたいこと等を1分間で話した。
三 まとめ
 分科会の内容は、大雑把に以上の通りである。詳細は、報告号にて報告するが、参加者全員が様々な意見を出し合って、「OCCUPY運動」について議論を重ね、今後の自分たちの運動を考えるきっかけとなったと思う。