民主法律時報

東大阪市学童保育指導員・縄手南団交拒否事件で勝利和解

弁護士 原野 早知子

 被申立人(株)共立メンテナンス(以下「共立」)は、平成 年から、東大阪市の学童保育事業の委託を受け、 のクラブの運営を行うようになった事業者である。(東大阪市の学童保育事業は、市の直営だったものが、平成元年から「地域運営委員会」方式となり、平成27年から一部が民間事業者に委託されるようになった。)

本件は、共立運営の縄手南クラブで働く指導員が加入する組合が、団体交渉を申し入れたところ、拒否されたため救済申立を行った事案であり、平成28年11月1日に府労委で団交ルールを確立する勝利和解が成立した。

 組合(東大阪労連・東大阪市職労・東大阪市ちびっ子クラブ指導員労働組合(以下「ちびっ子労組」)の三者)は、平成27年7月15日、雇用契約書の記載内容や、個別組合員の労働条件の改善を求め、団交を申し入れた。

ところが、共立側は、組合側の出席者を「3名以内」とする等の不当な条件を提示した(縄手南の組合員は3名で、組合は上部団体含め10名程度の出席を予告していた)。団体交渉当日、共立の担当者(事業部長)は、いきなり立ち上がり、名前も名乗らず、「3人と言っているだろ!」と威圧的な発言をし、同行者(関西支店長)に「交渉しない。帰ろう!」と促し、団交を開かなかった。

平成27年9月に予備交渉を行い、組合側は人数につき「最低5名」まで譲歩したが、共立が「3名以内」に拘り、合意に至らなかった。
組合は、平成27年12月15日に、改めて団交を申し入れたが、共立は返答を遅らせた挙げ句、平成28年1月末になって「都合が合わない」と回答し、団交を拒否していた。一方で、共立は、個別に指導員と面談した際に、雇い止めを示唆する態度まで取り始めた。
このため、平成28年2月10日に、府労委に救済申立を行った。

 本件は、組合側出席者数を「3名以内」とすることが団交拒否の理由になるかが最大の争点だった。「5名以内」の制限を不当労働行為とした救済命令の例があるほどで、本来理由にもならない理由で団交が開かれていない。

組合は、救済申立後も、抗議や交渉申入れなど粘り強い活動を継続したところ、平成28年7月15日、組合側5名出席での団交を実現することができた。これを踏まえ、府労委で和解協議に入った。

共立は、その後も人数制限「3名」の回答を繰り返し、和解交渉でも頑なな態度をとり続けた。しかし、平成28年9月16日、再度組合側6名出席で団体交渉が実現し、府労委も粘り強く和解を働きかけ、最終的に平成28年11月1日、府労委での和解協定書締結に至った。

 和解協定書で、共立側は団交に誠実に応じることを約束した。
最大の争点だった出席人数については、「双方それぞれ5名以内を基本、交渉事項に応じて、労使それぞれが総数10名以内で増減できる。その際は事前に連絡する」との内容で、共立の「3名限り」の主張を破り、組合が5名から10名の範囲で自主的に人数を決定できることで合意した。また、団交申し入れに対し、共立が二週間以内に団交を開催すること、開催日時について原則一週間以内に開催日時の回答を行うことなどを盛り込み、不当な回答の引き延ばしを許さない内容となっている。

共立が事業者となって以降、出席人数等をめぐって団交自体が拒否され、団交開催に至った際にも、開始前に30分以上紛糾することが続いていた。そのような中で、団交ルールを確立したことは、大きな意味を持つ。

 一方、団交拒否は入口の問題であり、組合は、やっと労使交渉のスタートラインに立ったところでもある。
共立は、団体交渉申し入れに対する対応も、府労委での姿勢も、最後まで真摯なものとは言い難かった(府労委には代理人弁護士(東京)のみが出席し、会社担当者の出席も、最終段階で公益委員が働きかけ、ようやく実現した)。

共立は、自治体の委託事業に全国的に進出すると謳っている。それにしては対応がなべてお粗末というほかなく、労働法に則った運営がされているか疑問である。今後も、緊張した労使関係が継続すると予想され、今回の和解を梃子に、労働条件の改善・向上を図っていく要請は極めて高い。組合の活動が問われるのは、まさにこれからである。
本件は、大阪自治労連・大阪労連をはじめ、大きな支援をいただいた。ご支援に心から感謝する。

(弁護団は、城塚健之・谷真介・原野早知子)

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