民主法律時報

無年金者の継続雇用拒否は許されない―NTT雇用継続訴訟・第6次提訴

弁護士 井上 耕史

1 はじめに

本年8月30日、NTT西日本により60歳定年後の継続雇用を拒否された3名の通信労組組合員が、高年齢者雇用安定法(高年法)9条違反として、同社と子会社2社を被告として地位確認等を求める訴訟を大阪地裁に提起した。NTT雇用継続訴訟の第6次提訴である。

2 これまでの雇用継続訴訟の経過

この間の経過をご存知ない方のために説明をしておく(民法協60周年記念誌25、29、41頁も参照されたい)。

2002年5月、NTT西日本は、構造改革と称して、業務を100%出資の地域子会社(OS会社)に「外注」し、51歳以上の労働者に対し、賃金2、3割ダウンとなるOS会社への転籍(退職再雇用)を求めた。その際、NTT西日本で 歳まで継続雇用する制度(キャリアスタッフ)を廃止し、退職再雇用に応じた者のみ当該OS会社での継続雇用の対象とし、退職再雇用に応じずNTT西日本に残った者は、「満了型」と称して60歳定年後の継続雇用をしない、という制度(本件制度)を導入した。

2006年4月1日施行された改正高年法は、基礎年金の支給開始年齢の引上げの代替措置として、65歳までの雇用継続を法的義務とした。ところが、NTT西日本は、本件制度を見直すことなく、毎年3月末に定年を迎えた労働者の継続雇用を拒否し続けた。そこで、継続雇用を拒否された労働者(通信労組組合員)が、高年法違反等を理由として、NTT西日本に対し地位確認等を求めて5次にわたり提訴したが、いずれも違法は認められず、最高裁の上告不受理で終結した。

2013年4月1日施行された現行高年法は、年金(報酬比例部分)支給開始年齢の引上げに伴い、労使協定による継続雇用対象者の限定が廃止され、他方で継続雇用先はグループ会社に拡大された。これを受けて、NTT西日本は、本件制度を廃止して、グループ会社での継続雇用制度を設けたが、本件制度において「満了型」とされた者については、敢えて継続雇用対象者から除外することとした。

NTT西日本により継続雇用を拒否された者が原告となり、第6次提訴に至ったものである。

3 従前の訴訟との違い

第一に、2013年3月末日以降に定年を迎えた者は、報酬比例部分も支給されない、全くの「無年金」である。無年金であるのに収入の途が絶たれており、当事者の受ける被害は従前とは比較にならないほど大きい。雇用と年金の接続、希望者全員の継続雇用、という高年法の趣旨にも真っ向から反する事態となっている。

第二に、退職再雇用の選択時期が従前と異なる。「高年齢者」とは55歳以上の者であると定義されているから(高年法2条1項、同法施行規則1条)、継続雇用の希望聴取時期は55歳以上の時期である必要がある。従前は偶々2006年に実施された「再選択」によって55歳以上の時点で意向確認がなされていたが、本件訴訟の原告らは50歳ないし52歳の時期にしか意向確認がなかった。定年より10年も前の時点でしか選べないというのは、あまりにも早すぎる。

第三に、現行高年法では、定年まで元の事業主で働いていた者を継続雇用しなければならないことが明文で定められている。定年前転籍を強要する本件制度が違法であることが明らかとなっている。

訴訟は第1回期日を終えて、次回(12月12日)から実質的な審理に入る。全国を見渡しても、NTTのような継続雇用拒否を続ける企業は見当たらない。今度こそ勝利判決を獲得するため、ご支援を御願いします。

(弁護団は、城塚健之、増田尚、井上耕史)

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