民主法律時報

大きな支援に背中を押されて闘ってきた思想調査裁判

原告団長 永谷 孝代

 思想調査アンケートが実施されて4年が過ぎました。2016年3月25日、大阪高等裁判所は職員の団結権を侵害し、プライバシー件を侵害する違法行為であると認定し、国家賠償請求を認容する判決を言い渡しました。

4年経っても、アンケートを見たときの震えるような気持ちを忘れることはありません。恐怖でした。怒りでした。いろんな気持ちが入り混じって前が真っ暗になりました。「処分」「業務命令」が目に焼きついて消えませんでした。懲戒免職をも覚悟して回答拒否を決断した日、「私が処分されたら、家族の生活が守れない」と悩み苦しんだ日・・・私たちに勇気をくれたのは、連日市役所を包囲する民間労働者や市民の声でした。「市役所の職員、頑張れ。胸を張れ」のエールに涙があふれました。

原告が所属する市役所労働組合は小さい組合ですが、いつも住民と同じ目線で、市役所に声を上げ続けてきました。私たちの誇りは住民とともに運動をしてきた軌跡でした。「私たちは何も悪いことはしていない。しっかり前を向いて進もう」その決意が裁判への提訴につながりました。そして、私たちの思いをたくさんの人たちが支えてくれました。「芝居」になり「歌」になり、労働組合の枠を超えて私たちを支えてくれる人の輪が広がりました。拍手で迎えられるたびに原告は感動の涙が流れました。市政を変える運動をすることが私たちの裁判の大きな意義だと確信しました。

橋下市長が進める市政改革プランは根こそぎ市民生活を切り捨てていきました。医療・福祉・教育・交通・文化・自然・・・大阪市が次々崩壊させたことが許せませんでした。裁判に訴えにいくたびに、保育士は公立幼稚園・保育所の民営化の話をしました。民営化だけにとどまらず、国の流れに逆行して保育士の給料の大幅引き下げを強行してきた大阪市です。市民にも職員にも血も涙もない切り捨てを平気でするのです。モチベーションアップとは名ばかりの人事評価制度を相対評価にし、必ず下位区分を作り、連続して下位区分だった職員は研修対象、それでも効果が認められない場合は分限処分、つまりクビです。おなじ職場の仲間が切り捨てられていくのです。職場に「処分」「業務命令」という言葉がはびこりました。「処分」されたくない人は仲間を切り捨て、言いなりの職員に変貌していきました。ギスギスした職場に会話もなければ、チームワークもない、自己責任ばかりを押し付けられる冷たい職場へと豹変していきました。職員がこんな状態で住民の生活を守る仕事ができるはずがありません。市政を変えなければ・・・その思いは5月17日の住民投票に勝利し、大阪市の解体を許さない運動へと繋がっていきました。投票箱の閉まるまで、本当に一丸となって闘った住民投票の勝利は「橋下市長に退陣」を宣言させ、私たちにも明るい光がさしました。その後の戦争法案阻止のたたかい、そして、市長選・・・世の中はそんなにすぐには変わらないけれども、「憲法が生きる自治体を」をスローガンに裁判を闘ってきたからこそ、私たちも運動の真ん中にいられたことが誇りでした。

高裁勝利に向けては、裁判所前での毎週宣伝、4000枚を超える要請はがき等、今できることをやりきろうとがんばってきました。組合事務所裁判では月に何度も最高裁要請を続けてきました。「橋下市長の悪政を許さない」と過ごした4年は怒涛のごとく過ぎていきました。しかし、私たちには、4年間変わらずに毎回支えてくれる仲間がいました。その仲間の広がりにどんなに支えられ、時に叱咤激励されたことでしょう。仲間の力があったからこそ、私たちのたたかいがすすめられたと思っています。本当にありがとうございました。そして、これからもともに闘ってきた仲間の闘いの輪の中で一緒に声をあげ続けたいと思っています。

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