民主法律時報

手数料徴収することなくチェック・オフを再開せよ!―泉佐野市・千代松市長の不当労働行為を三たび断罪―

弁護士 増 田   尚

 泉佐野市の千代松市長による泉佐野市職労・同現業支部に対して、大阪府労委は、1月に、職員基本条例等についての不誠実団交・平成25年度組合事務所使用料減免申請不承認・給与減額等についての不誠実団交等について、5月に、平成26年度減免申請不承認等について、それぞれ支配介入・団交拒否の不当労働行為を認定し、救済命令を発してきた。さらに、7月30日、組合費のチェック・オフにつき事務手数料を徴収するよう迫り、団体交渉申入れにも応じることなく、組合が事務手数料徴収に同意しなかったことを理由に、チェック・オフを中止したことが支配介入・団交拒否の不当労働行為に該当するとして、①手数料を徴収することなくチェック・オフを再開すること、②チェック・オフが廃止されたために組合が自動送金により組合費を徴収したことにより生じた送金手数料相当額(1口座1回当たり27円)の実損を回復すること、③同様の不当労働行為を繰り返さない旨の誓約文の手交を命じる救済命令を交付しました(命令は28日付)。

 泉佐野市では、長年にわたり、条例の定めに基づき、組合員である職員に支給すべき給与から、あらかじめ組合費を控除し、組合の口座に送金をするチェック・オフが行われてきました。
 ところが、市は、2014年2月10日、組合に対し、行政改革の一環であるなどとして、同年4月以降、チェック・オフについて組合費の額の3%に相当する事務手数料を徴収するとして、2月28日までに、組合費集金契約書に合意をしなければ、チェック・オフを中止すると通告しました。そこで、組合は、従前どおり無償でチェック・オフを行うことや、事務手数料を徴収することとした理由を説明することなどを求めて、市当局に団体交渉を申し入れました。しかし、市当局は、管理運営事項であるとして、これを拒否しました。

 そこで、組合は、同月20日、府労委に、市の行為は、支配介入・団交拒否であるとして、救済命令を申し立てるとともに、事務手数料を徴収したり、チェック・オフを中止したりしないよう求める実効確保措置の勧告をするよう申し立てました。府労委は、実効確保の措置はとらなかったものの、同月26日、市に対し、労使紛争の拡大防止に努めるよう口頭で要望しました。
 市は、チェック・オフの中止の時期を6月1日に延期したものの、その間にも団体交渉に応じることなく、組合が集金契約書に合意をしなかったことから、6月1日をもって、チェック・オフを中止しました。そのため、組合は、組合員に自動送金の手続をとってもらう方法により組合費を集金することを余儀なくされました。

 そこで、組合は、7月18日、事務手数料を徴収するよう通告し、これに組合が応じなかったことを理由としてチェック・オフを中止したことが支配介入であり、団体交渉に応じなかったことが団交拒否の各不当労働行為に該当するとして、①チェック・オフの再開、②振替手数料相当額の損害の補填、③団交応諾、④謝罪文の掲示(ポスト・ノーティス)の救済命令を申し立てました。

 命令は、「長期間継続されてきたチェック・オフを中止又は変更するには、合理的な理由が必要であり、市は、組合に対し、その理由を明らかにして説明を行い、理解を得る努力を行う必要がある」とした上で、財政健全化という市の理由についても、慎重な検討を行わず、拙速な対応であり、組合に対する説明を行おうとしていたとは理解できないと厳しく批判しました。
 また、管理運営事項に該当するとの団交拒否の理由についても、チェック・オフのような給与からの控除については条例等の法令の根拠が必要であり、長の裁量によってなしうるものでないから、そもそも管理運営事項に当たらないし、団体的労使関係事項であって義務的団交事項であるとして、正当な理由とはいえないとしました。

 このように、命令は、市の対応を厳しく不当労働行為と断罪しており、自治体の首長による組合攻撃に対し、労働組合法の観点から許されないものであると警告を発しているといえます。また、救済の内容についても、手数料を徴求することなくチェック・オフを再開することや、実損を回復することを原状回復として命じており、組合の権利侵害の実態に即したものと評価できます。

 市は、命令を不服として、8月28日、取消訴訟を大阪地裁に提起しました。組合は、府労委に補助参加し、勝利命令を維持する訴訟活動をするとともに、市に対し、直ちに命令を履行するよう求めています。

 先行2事件は中労委に継続し、年末ころに審問が予定されています。また、さらなる給与削減をめぐる不誠実団交についも府労委に継続中で、10月に審問を行います。一連の救済申立事件で勝利命令を得て、労使関係の正常化を図り、職員の勤務条件の向上と職場の民主化のために、組合活動を旺盛に展開することこそ、千代松市長の攻撃に対する最大の反撃になります。引き続き支援をお願いします。

(弁護団は大江洋一、半田みどり、谷真介と当職)

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