民主法律時報

泉佐野市事件で勝利命令――千代松市長の不誠実団交・組合事務所使用料徴収は不当労働行為

弁護士 増 田   尚

 大阪府労働委員会は、1月15日、泉佐野市職労及び同現業支部の申立てについて、組合の主張する不当労働行為をすべて認め、誓約文の手交や、組合事務所の使用料に関する団体交渉につき応じるよう命じる救済命令を交付しました。
千代松市長は、就任後、給与や勤務条件を一方的に切り下げ、労使交渉を形骸化して、職員団体・労働組合を軽視し続けてきました。
①市当局は、2012年11月~12月に、職員基本条例の制定や、特殊勤務手当の廃止・時間外勤務手当の見直し・退職手当の削減等の条例改正を提案し、組合との団体交渉を「公開」することを条件としたり、一方的に実施日時を指定したりと、誠実に交渉せず、合意形成を図ろうとしないまま、議会に上程し、可決成立させて、職員の勤務条件を大幅に引き下げました。
②また、2013年3月には、1977年ころから無償で提供されてきた市役所別館の組合事務所について、突如として、組合からの使用料の減免申請を承認せず、1年ごとに2割ずつ減免率を引き上げることとし(最終的には年12万2500円)、減免申請不承認等についての組合からの団体交渉申入れにも、管理運営事項(地方公務員法55条3項)であるとして、これを拒否しました。
③さらに、2013年5月には、給料表の是正(引き下げ)や夏期休暇の日数削減について提案し、組合との団体交渉において、その理由をまともに説明しないまま、一方的に打ち切って、給与を削減する条例案を議会に上程するなどしました。
組合は、2013年5月及び10月に、これらの市当局の対応が不当労働行為であるとして、団体交渉に誠実に応じることや、組合事務所の使用料の徴求の禁止、謝罪文の掲示を命じるよう求めて、大阪府労働委員会に救済を申し立てました。
命令は、職員の給与や勤務条件に多大な影響を与える条例案であるのに、きわめて短期間の団体交渉しか予定しておらず、十分な資料を提供するなどして説明しないまま、議会に上程したり、交渉を打ち切ったのは、不誠実であるとともに、組合を軽視する支配介入に該当すると指摘しました。また、組合事務所の使用料減免を不承認としたのは、使用料を徴収にかかる方針変更について必要な説明のないまま一方的に負担を強いたものであり支配介入に該当し、かつ、管理運営事項であるとして団体交渉を拒否したことについても、団体的労使関係事項は、管理運営事項そのものでない限り、団交事項であるとして、正当な理由がないと判断しました。
千代松市長は、その後も、チェック・オフに手数料負担を要求し、組合が応じないことを理由にチェック・オフを中止したり、組合事務所の使用許可についても、使用料を支払わなければ取り消すとの条件を付加するなどの行為を繰り返し、組合の活動に打撃を与えようとしています。これらの不当労働行為についても、組合は、救済命令を申し立てるとともに、実効確保の措置勧告を求め、府労委は、市に対し不当労働行為を拡大しないよう口頭で要望しました。さらに、2014年12月にも、さらに5年間職員の給与のカット(4~9%)などの勤務条件の引き下げを提案し、組合との合意形成を図らないまま、議会に上程して可決成立させたため、救済命令を申し立てました。このため、同一の地方公共団体で6件もの救済命令申立事件が係属する異常な事態となっています。
市当局は、不当にも、本命令を不服として、再審査申立てを行いました。しかし、本命令は、千代松市長の市政運営に厳しく批判したものであり、千代松市長がなすべきなのは、命令を受け入れて、労使関係の正常化に努めることです。
この間、橋下・大阪市長をはじめとして、同様に強権的な手法をとる首長に対しては、大阪府労働委員会はその無法を厳しく戒めています。中労委でも、救済命令を維持するとともに、他の事件についても必ず勝利命令を得て、労使関係の正常化を果たすため、組合・弁護団一体となって、引き続き奮闘します。

(弁護団は、大江洋一、半田みどり、谷真介及び当職)

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