民主法律時報

コロナ過での雇止め事件(コード争議)判決の問題点 ――裁判・府労委委員会 判決検討会――

大阪争議団共闘会議 粕 谷 武 志

1 コロナ過での雇止め

2022年12月8日、京都印刷会社雇止め事件(コード事件)・一審判決をテーマに裁判・府労委委員会の判決検討会がオンラインで行われました。私たち大阪争議団共闘会議は事務所のある国労会館の民主センターに集まっての参加となりました。この裁判はコロナ過の雇用調整助成金を受給中の会社がパート労働者を雇止めした事件ですが、2022年9月に出された判決は雇用継続の合理的期待を否定し、なおかつ雇用調整助成金を受けている会社の経営上必要性のない雇止めを認めるという不当な判決でした。

今回の裁判・府労委委員会はオンライン開催であり、経過や問題点がわかりにくかった面があったのですが、質問や回答が出される中で理解が深まっていき、次第に判決の粗さと不当性が見えてきました。

2 判決の問題点

わたしたちが感じたこの判決の問題点は、①コロナ過での雇用調整助成金を受給しながらの雇止めは必要のない解雇であり、②会社が原告の記者会見に対して反訴を提起したことは原告個人に対する嫌がらせとともに組合攻撃ではないか、との疑問や感想を持ちました。①については、コロナ過での雇用調整助成金制度がありながら全国で6~7万人の解雇や雇止めがあり、本件の判決が雇止めを違法とすると他の解雇事件への波及が大きいものになるという見方も出されました。

また、原告への反訴という方法が裁判を受ける権利を妨害するものであり、特にこのコード事件裁判においては、労働組合の団体交渉や正当な活動を敵視し、妨害するものになるのではないかという懸念を持ちました。また、反訴が提起されたことにより、裁判長は原告の訴えと併せて双方の請求を棄却するという痛み分け的な手法をとったという側面もないだろうか、素人の視点から疑問に思いました。

3 裁判・府労委委員会に望むこと

法律の専門家からの見方や意見を聞き、また原告(被告)の実情を理解し、私たち大争共などたたかいを支援する立場からの意見など、多方面からの視点を出し合って裁判や労働委員会の勝利をめざすこの取組みはとても有意義で力になります。さらに私個人の思いを追加すると、この三者からの視点に加えて裁判官からの視点というものも必要ではないかと感じています。業務に追われ、じっくり検証する時間のない裁判官は、原告の実情や思いを感じ取れないであろうし、また、客観的で明確な判断材料がない場合は、組織への同調圧力というものに縛られ無難な判決を出さざるを得なくなる―すなわち力の強いものの肩を持ち、体制擁護の流れにそった判決を出すことになる。このことに対する攻略法も併せて考えていくべきではないかなと感じています。

4 高裁で勝利しよう 

たたかいの場は高裁に移っています。すでに高裁に向けた署名も進んでいると聞きます。
京都地裁での根拠不十分な判決を覆し、雇用調整助成金の制度がありながらの雇止めの不当性を明らかにするためにも、高裁での取り組みが重要です。大阪争議団共闘会議は京都印刷会社雇止め事件逆転勝利のために支援する所存です。

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