民主法律時報

シフト制労働ホットライン のご報告

弁護士 西 川 大 史

1 はじめに

民法協では、2022年4月16日、シフト制労働対策弁護団(東京)との共同で、「シフト制労働ホットライン」を開催しました。

多くのメディアで事前告知や当日のホットラインの様子を報道いただいたことや、SNSなどでの宣伝拡散もあり、当日は計13件の深刻な相談が寄せられました。

2 社会問題化するシフト制労働

新型コロナウイルスの感染拡大によって、多くの事業が休業状態になりましたが、その際にシフト制で働く非正規労働者のシフトがゼロあるいは大幅にカットされるという被害が多発しました。その結果、大幅な収入減となるシフト労働者が多く発生しました。

シフト労働者はシフトを簡単に減らされるなど非常に脆弱な立場にあり、シフト労働制の問題はコロナ禍で浮き彫りになった非正規労働の新たな課題として社会問題化しています。

このような社会情勢を踏まえて、シフト制労働者に寄り添うべく、「シフト制労働ホットライン」を開催することになりました。

3 相談内容

当日は、シフト制労働に関連した相談として、「コロナの影響でシフトが入らなくなり休業を余儀なくされたが、休業手当などは一切支払われていない。」、「シフトカットされ、経営悪化を理由に整理解雇された。」、「出勤日とされていた曜日以外の曜日へのシフト変更を求められている。」、「もともと正社員だったが、シフト制のパート労働者で勤務している。」、「コロナの影響で休業状態が続いている。」など、シフト制労働者から切実な声が寄せられました。

4 シフト制労働の脆弱性の解決に向けて

シフト制労働については厚労省も問題視せざるを得ず、2022年1月に「いわゆるシフト制による就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」と題する通達を出しました。しかし、法的な拘束力はなく、シフト制労働者を守るための法的規制や運動強化が必要です。

シフト制労働の脆弱性は社会問題となっており、社会的関心も高まっています。今回のホットラインの相談結果を踏まえ、シフト制労働の実態を浮き彫りしながら、シフト制で働く労働者の声に耳を傾け、権利回復に向けて取り組んでいきます。

また、民法協のホームページに、「シフト制に関する労働問題Q&A」(https://www.minpokyo.org/useful/9245/)として、シフトカットと賃金、シフトカットと休業支援金、シフトの明示についてのQ&Aを掲載しています。労働相談などの参考にしていただければ幸甚です。

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