民主法律時報

新人学習会に参加して

弁護士 松 村 隆 志

1 5月30日、民主法律協会の新人学習会が開催されました。同学習会には新人弁護士6名を含む合計18名が参加し、活気あふれるものとなりました。

新人学習会では、2019年から2021年まで民主法律協会の事務局長を務めておられた谷真介先生(北大阪総合法律事務所)から、「労働者側で取り組む労働事件」と題してご講演いただきました。本稿では、私の感想も交えて、新人学習会の内容をご報告させていただきます。

2 谷先生からは、まず、労働問題の特徴として、①少子高齢化による経済的な疲弊が問題の背景となっているなど個別事案が普遍的問題とつながっていること、②「仕事」が個人の生活と誇りに直結するものであること、③使用者と労働者には圧倒的な立場の違いがあり、情報や資料も偏在していること、④コロナによるシフトカットや雇用によらない働き方など常に新しい問題が生じること、等があるとのご説明がありました。また、一口に労働問題といっても一般労働事件や労災事件、非正規雇用問題、外国人労働者問題等幅広く、解決方法の選択肢も、労働審判や行政手続、訴訟等多岐にわたるとのことでした。

弁護士が労働者側で労働事件に取り組むにあたっては、法律や裁判例、行政通達等のほか、各種手続、関連諸制度等についても理解したうえで、法を用いて紛争を解決する能力、場合によっては労働組合やマスメディアと連携し、SNS等も活用して社会を変えていく力が必要であり、そのために知恵を絞り、団結・連携して、強い者や新たな問題に挑戦していくことに労働事件の魅力があるとご説明いただきました。

また、労働相談を受ける際の注意点や証拠収集の重要性とその方法、解決手段を選択する際の留意点などをご説明いただいたほか、紛争類型ごとに、解雇の場合には解雇理由の早期特定が極めて重要であることなど、弁護士としての職務にすぐにでも役立つ知識をご教示いただきました。

3 谷先生の講演を伺い、労働事件に携わるにはいかに広範な知識と能力が求められるか認識を新たにするとともに、具体的にどのような点に注意して事件を進めていくのか知ることができ、大変勉強になりました。また、労働事件の魅力ややりがいを伺って、労働事件に積極的に取り組んでいきたいとの思いを一層強くしました。

今後は、本学習会でご教示いただいた点を各案件の解決に生かしていけるよう、一件一件の案件に真摯に向き合っていくとともに、民主法律協会の各研究会において研鑽を積んでいきたいと考えています。

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