おおさか労働相談センター事務局次長 宮 崎 徹
2021年2月24日(木)18時30分から国労会館において第2回労働相談懇談会を開催し、労災の審査請求と再審査請求について学習しました。当日は6産別、6地域組織の組合役員と、弁護士や民主団体役員など計26名の参加がありました。
最近の労働裁判・労働委員会に見られる情勢報告
佐久間ひろみ弁護士(大阪中央法律事務所)から報告が行われ、不動産会社フジ住宅が在日外国人を差別する文書を職場で配った「ヘイトハラスメント」の控訴審判決、橋下市長時代に大阪市が市役所労働組合の組合事務所強制撤去問題での団交を拒否した問題で大阪高裁が「団体交渉拒否は不当」として大阪市の控訴を棄却したこと等が報告されました。その中でセクハラ事件では原告側勝訴と言える判決や和解が増加傾向にあることが指摘されました。
学習会:労災手続Part2 審査請求・再審査請求について
国公労連・全労働大阪基準支部より講師を招き、①行政処分に対する不服審査制度を定めた行政不服審査法と、労災事案に関する不服審査制度を定めた労働者災害補償保険法に関する説明、②労災不支給決定に異議がある場合の審査請求、再審査請求手続きと審理の流れ、③審理には不支給決定をした労基署に対して審理への出席と意見書及びその証拠書類の提出が指示され、意見書は審査請求人にも開示されること、④また審査請求人も証拠となる文書や物件の提出が許され、口頭で意見陳述の機会が与えられること、⑤さらに審査官の許可を得れば労基署からの出席者に対して質問を行える等の説明がありました。
また、精神事案や脳・心臓疾患事案など一般的な傷病と比べて認定率の低い事案を中心に業務上か否かを問う審査請求が増えていて、労災認定や審査請求を迅速かつ丁寧に行うために労基署職員や審査官の拡充が重要との指摘がありました。
相談事例検討
月給制で基本給+45時間分の固定残業手当が支給され、1日の所定労働時間は8時間、法定休日は日曜日、土曜日は繁忙期が月1回休みで閑散期は月2回休みの労働条件で、勤務日の土曜日を休むと賃金は引かれるのかとの相談事例について検討しました。
月曜から金曜の労働時間合計が40時間なので土曜日の労働は時間外労働で欠勤による減額はないという意見が出る中、土曜日を所定労働日に含むことも違法ではないという指摘がありました。その場合、土曜日の労働に対する賃金も基本給に含まれているので、土曜日の労働が時間外労働になっても25%の割増分の支払いで良いことになる。そうなると土曜日の欠勤は減額される可能性があるので、固定残業代の内訳や就業規則等の確認、所定労働時間や労働日数の明確化が重要との結論になりました。