民主法律時報

民法協学習会・伍賀一道先生講演 「非正規大国」日本の雇用と労働

堺市職員労働組合 山 道 崇 之

 4月17日、伍賀一道氏(金沢大学名誉教授)にお越しいただき、エル・おおさかで学習会を行いました。伍賀氏は昨年、著書『「非正規大国」日本の雇用と労働』を発刊されており、今回の学習会は同名のタイトルで行われました。2015年

伍賀氏の講演は「全部話すと3時間はかかる」というレジメと、豊富なデーターと図示を駆使したパワーポイントをもとに続けられました。

最初に「非正規大国」について「EU諸国と比較した日本の特徴は低い失業率と高い貧困率」と解説されました。2012年の数字でアメリカは8%程度、EUで10%を超える失業率は日本では4%程度。しかし、相対的貧困率は世界各国の中で上位にあり、1985年では12%でしたが、2012年は16.1%と上昇を続けています。この背景には、貧弱な失業給付の問題があり、1970年代には完全失業者の中で80%~90%は雇用保険を受給していましたが、その後の制度改悪の中で現在では  %程度しか受給していません。失業をすると、次の就業のために資格を取るなどスキルアップを図ることもままならないだけでなく、職を選べる状況になく次の就業を余儀なくされる実態があります。このことから非正規雇用へ誘導が行われています。また、伍賀氏は「非正規雇用の増加は正規労働者の働き方も困難にしており、非正規雇用の雇用不安と正社員の働き過ぎは『同じメダルの表と裏の関係』。正規と非正規雇用を対立的に捉えてはならない」と指摘もされています。

次に講演では、「非正規大国化への道」として、非正規雇用の増加の歴史を紹介された後、過去には「家計補助型」が中心であった非正規労働が今では「自立型」が中心となっている実態について紹介されました。2012年で2千万人近くいる非正規労働者の内年収200万円未満の方は75%を超え、300万円未満となると実に9割を超えるという低賃金労働の実態があります。また、低所得層の増加という点では総務省の『労働力調査』から集計される数字で5000万人強の全労働者の内、実に52%が年収300万円未満であるということ、近年の傾向として、65歳以上の高齢者の非正規雇用が若年層をしのぐペースで増えており、「年金の低水準を補う新たな『家計補助的労働』」などを紹介されました。

伍賀氏は地域別非正規率にも触れ、「大阪の非正規率は41.3%と高い。東京35.7%という数字と比べてみてもその高さが分かる」と大阪の問題にも踏み込まれました。

これらの問題に対抗していく方策として「労働基準の向上を求める取り組み」、「均等待遇原則の具体化」、「職業訓練・能力開発の条件整備」、「子育て、教育、医療、介護、住宅などの社会サービスの公的保障の拡充を求める取り組み」を挙げ、結びに「非正規大国」のもとで自己責任論が加速される。ともに働く非正規労働者の現状に心を寄せ、一緒に改善を図ろうと手を差し伸べる運動が求められると参加者たちにこれからの取り組みを呼びかけられました。

最後に私の感想ですが、伍賀教授の講演を聞くのは3度目(?)。いつもながら、豊富なデーター解析をもとにする講演に引き込まれるように聞いていました。このレポートでは当日の講演の半分も再現できていません。(断言して言うようなことではありませんが…)せっかく伍賀教授が書籍をまとめられたのですから、私のレポートにおいても、みなさまに「書籍『非正規大国』に学ぼう」と呼びかけたいと思います。ダイキン偽装請負労働者たちの期間社員化後雇い止め訴訟では、伍賀教授にはひとかたならず支援をいただきました。苦難にあった労働者たちの道を切り開いていくための伍賀教授の姿勢をなお取り入れ、これからの労働運動を構築したいと思います。
貴重な機会をありがとうございました。

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