民主法律時報

ブラック企業対策! 労働判例研究ゼミのご報告~固定残業代~

弁護士 川 村 遼 平

「ブラック企業対策! 労働判例研究ゼミ」は、ブラック企業への法的な対抗策を考えるため、偶数月の第3月曜日にゼミを開催し、テーマを決めて2~3の裁判例を検討しています。2021年10月のゼミのテーマは、残業代請求訴訟をする上では避けて通れない「固定残業代」です。3つの裁判例を取り上げました。

1つ目の裁判例は、日本ケミカル事件最高裁判決(最判平成30年7月19日・判時2411号124頁)です。固定残業代の事件では必ず言及される最重要判例の一つです。報告者は垣岡彩英弁護士(堺オリーブ法律事務所・73期)です。垣岡弁護士には、一審・二審がどのように判断したかという経緯を始め、具体的な事案に即して最高裁が判示した内容がどのようなものであったか解説していただきました。また、最高裁の判断枠組みをどのように活用すべきか、方向性を示していただきました。

2つ目の裁判例は、結婚式場運営会社A事件の東京高裁判決(東京高判平成31年3月28日・労判1204号31頁)です。結論として固定残業代を有効と判断した裁判例です。報告者は細田梨恵弁護士(京都第一法律事務所・69期)です。細田弁護士には、日本ケミカル事件最高裁判決を前提に、一審の判断との相違点や争点に対する高裁の判断などを解説していただきました。また、長時間労働・過労死を抑止する観点から、この裁判例のどこに問題があるのか、示唆をいただきました。

3つ目の裁判例は、東京地判令和2年6月24日(東京地裁H30(ワ)35793号)です。マイナーな裁判例ではありますが、会社が就業規則を変更して歩合給を残業代に組み替えようとした事案で、変更後の就業規則の効力を否定した注目すべき裁判例です。報告者は青木克也弁護士(古川・片田総合法律事務所南森町事務所・73期)です。青木弁護士には、本件で問題となった重要な点を抽出して解説していただきました。また、就業規則の変更によって固定残業代制度が導入された場合の対抗策について提案していただきました。

今回は、若手弁護士を中心に、オンライン(Zoom)参加10名、会場参加5名の、計15名にご参加いただきました。労働組合の方にもご参加いただきました。各裁判例の検討後にディスカッションの時間を設け、それぞれが担当中の事件などで感じている疑問点などを共有し、事件処理の方向性について議論しました。

次回は 2021年12月20日(月)を予定しています(テーマ未定)。改めてML等でご案内しますので、ぜひご参加ください。

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