おおさか労働相談センター事務局次長 宮崎 徹
2019年2月22日(金)午後6時30分より、国労大阪会館で今期2回目となる労働相談懇談会が開催されました。当日は6つの産別組織から15名、5つの地域組織から16名の組合員が参加、弁護士や研究者などを含めると合計45名の参加で、会場はほぼ満席となりました。安倍「働き方改革」への関心の高さがうかがえます。
冒頭、川辺所長は「職場から『安倍働き方改革』を跳ね返すため、内容をしっかり学習し、利用できる点と絶対阻止すべき改悪事項を理解しよう」とあいさつ。
最初に、清水亮宏弁護士から直近の労働事件の判例や地労委命令について報告があり、泉佐野りんくう総合医療センターで働く看護師70名が訴えた残業代請求訴訟の概要、大阪医科大学の時給制で働くアルバイト職員に対して賞与が支払われていない、夏季・病気休暇が認められていないのは不合理だとして、正職員に対する賞与の6割の支払いや休暇の付与などを命じた大阪高裁の判決内容、東京メトロ子会社で10年前後働く契約社員に対する待遇格差は違法として、退職金や手当の差額について賠償を命じた東京高裁の判決内容などについての説明がありました。
続く学習会では、講師の須井康雄弁護士が「長時間労働と36協定について」分かりやすい資料を使いながら、安倍「働き方改革」によって労働と労働時間規制がどのように変わるのか、留意点はどこにあるのかなど要点をしぼって講演され、参加者は熱心に聞き入っていました。
労働基準法では36協定をはじめ労働時間に関する多くの事項について、労働者代表との協定が必要とされており、この労働者代表の選出を適正に行わせることが重要です。労働組合が過半数を組織していれば、労働組合の代表者が協定を結ぶ当事者となりますが、過半数を下回っている場合「従業員の過半数代表」を獲得する為の活動を強化する必要があります。また、法律による労働時間の規定は最低基準であり、よりよい労働条件の確立をめざすことを念頭に置くことが大切です。
新たな36協定締結をこれまでの不十分だった協定内容を改善する機会ととらえ、いつ改訂時期が来るかをチェックしておくこと、新しく締結した協定の内容に基づいて遵守状況のチェック機能強化の具体的な対策を盛り込むこと、残業許容時間の延長、休日労働の許容に関する労使協定では「延長する業務の種類」「業務の区分」を細分化し、明確化すること、「業務の都合上やむをえない場合」などの表現は認めないという姿勢で臨むことが大事です。また、過半数代表が取れない場合、積極的に過半数代表に要求を伝え、会社と交渉するよう働きかけることが大事です。
なお、36協定の締結は義務ではないことを再認識し、労働者にとって著しく不利益な内容であれば、締結を拒否するという姿勢を明確にし、会社側に譲歩させることも可能です。
こうした点を学べた今回の学習会は、非常にタイムリーで有意義な内容であり、講演後の質問時間でも会場から多くの質問や事例が出されていて、参加者にとっても満足する労働相談懇談会でした。