民主法律時報

守口市非常勤職員雇止め事件 不当判決

弁護士 愛須 勝也

1 事案の概要

2016年8月29日、大阪地裁第5民事部(内藤裕之裁判長)は、頭書事件において、原告の請求を棄却・却下する不当判決を言い渡した。

守口市は、国民健康保険料収納推進員(10年12月までは徴収員)として7年10か月にわたって任用(任期は1年)されてきた非常勤職員について、13年3月末の戸別訪問徴収制度の廃止を理由に14年3月末をもって雇止めにした。原告が加入する守口市職労は、守口市との間で、非常勤職員の雇止めはしないという労使合意を締結し、毎年、確認文書を取り交わしてきた。ところが、平成23年、大阪維新の西端市政の誕生によって、労使合意が無視され、制度廃止、雇止めを強行してきたのである。

そこで、原告は、守口市を相手に、主位的に地位確認請求、賃金請求、予備的に非常勤職員への任用義務付け、損害賠償請求を求めて大阪地裁に提訴した。

非常勤公務員の地位確認・損害賠償という高いハードルは承知の上で、労使合意を無視した雇い止めは許されないとして提訴されたのが本件である。

2 不当判決の内容

(1) 地位確認について、判決は、地公法上、免職が行政処分と構成されていることに照らすと採用も行政処分であること、労契法22条1項が公務員について適用除外しているという理由のみで、「労働契約法19条を類推適用する余地はない」とした。判決の結論は予想できたが、裁判所が非常勤公務員に関しては、全く思考停止していることを改めて示した。義務付けについても、既に原告が稼働しているから「重大な損害を生じるおそれ」を否定、損害賠償が可能であるから、他に適当な方法がないとも認められないとして却下した。

(2) 国賠法上の違法性について
大阪大学事件の最高裁判決以降、いくつかの裁判所で認められてきた損害賠償については、本件では、非常勤職員の雇止めは行わないという労使合意があり、それが繰り返し確認されてきたという経過からも、少なくとも期待権侵害が認められるべき事案であった。判決は、任用要求の権利等は認められないとし、能力の実証に基づく任用という法令等の内容からすると、任用の継続を期待することは、「それ自体法的保護に値する利益であるとは認められない」とした上で、「任用が継続されると期待することが無理からぬものと認められる特別の事情」があるかどうかを大阪大学事件の最高裁判決に基づき検討。その中で、市職労との労使合意は、「非常勤職員の職種が廃止され、これに代わる非常勤職員の職種が設けられた場合」に「退職した扱いとすることは『雇止め』にあたる」から「『雇用を継続するための話し合い』を合意したもの」とし、それに代わる職種が設けられない場合に「『雇止め』しないことやその配属先について協議することまでを合意したと認めることはでき」ないと勝手に限定し、労使合意は地公法  条等の趣旨に反し適当ではないという点を措くとしても、本件では代替職種が設けられた場合に当たらないから期待は保護されないとして請求を退けた。これは、原審の審理の中で被告も主張していないような事実認定であるが、本判決の最大の弱点でもある。


 守口市では、非常勤職員の雇用確保のために、労使合意の下、努力を重ねてきた。本件労使合意にはその思いが込められている。収納推進員制度についても、収納率の低下の中で、2010年11月、労使協議に基づき業務を拡大してきた。ところが、維新市政の誕生により、それまでの経過を一切無視し、一方的に制度廃止し雇止めしたのであるが、裁判所は、思考停止し、市の主張を追認するだけで、原告の権利を救済する役割を完全に放棄した。

このように判決は、非常勤職員の置かれた状況について全く顧みない不当なもので到底納得できない。守口市では、国保収納推進員制度の廃止に続き、5歳児までの保育料の無償化の財源として公立保育所の民営化も打ち出されている。

このまま、維新市政の好きなようにさせる訳にはいかない。原告は直ちに控訴して、控訴審での巻き返しを誓っている。

(弁護団、城塚健之、河村学、中西基、中峯将文と当職)

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