2026年6月30日
民主法律協会 会長 豊川 義明
2026年6月24日、自民党と日本維新の会は、「国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律案」(以下「副首都法案」)を国会に提出した。この副首都法案を巡っては、国会提出直前に、大阪市の廃止による特別区導入の是非を、大阪市民ではなく、大阪府民の住民投票で決定することを許容する附則が削除されるという経過があった。最終的には削除されたとはいえ、党利党略によって同附則が設けられようとしたことは看過できない。
大都市法が指定都市の廃止・特別区設置に当該市民の住民投票を不可欠な要件としたのは、住民サービスの提供体制や税財源のあり方に重大な影響を及ぼす決定を、当事者である住民自らが判断する権利(住民自治)を尊重するためである。大阪市の廃止は市有財産や権限が大阪府へ移譲されることを意味するため、大阪市民によって判断されなければならない。大阪市以外の府民は大阪市からその財産や権限を受け取る側となるのであって、このような明確な「利益相反」関係となる者を含む住民投票によって自治体の存立を決定することは、著しく公平性を欠き、憲法92条が保障する「地方自治の本旨」に反する。
また、本法案は形式上全国の道府県を対象とする一般法を装いながら、実質的には特定の自治体である大阪市の廃止を強行する「大阪決め打ち」の性格を有している。これは、特定の自治体にのみ適用される法律について住民投票を義務付けた憲法95条の趣旨を潜脱するものであり、民主主義の手続を軽視した憲法違反の立法と言わざるをえない。
そもそも、上記附則が提案されたのは、過去二度の住民投票で大阪市民が明確に否決した「大阪都構想」を、住民投票の範囲を強引に変えることで実現しようとしたものに他ならない。大阪市民の権利や民意を無視した大阪維新の会・日本維新の会の党利党略のみに基づく暴挙である。
行政サービスの維持やあり方は、そこに生活の基盤を置く住民自身が決定権を持つべきである。必要性に関する説明すら欠いたまま、住民の自己決定権を奪い、憲法上の権利を侵害することは断じて容認できない。
当会は、党利党略による暴挙がなされようとしたことに対して強く抗議するとともに、国・自治体に対し、地方自治を蔑ろにしない政治を行うよう求める。



