レイバーノーツアジア大会 「ストライキをどう組織するか (How to Organize a Strike)」 報告

2019年10月15日

弁護士 安原 邦博

1 はじめに

2019年8月16日(金)~18日(日)に台北市内でレイバーノーツアジア大会が開催された。本稿では、17日(土)午前(9時~12時15分)にあった、「ストライキをどう組織するか(How to Organize a Strike)」の分科会について報告する。

レイバーノーツアジア大会のスケジュール表に記載されていた同分科会の紹介文は、「ストライキが帰ってきました! 世界中の労働者が、労働者の最強兵器を活用しています。このファシリテーション討論では、ストライキをどのように計画するか、どのようにして同僚を巻き込むか、地域や労働者の協力をどのようにして得て、そして使用者の弱点(使用者に圧力をかけるポイント)をどのようにして見つけるか、について話し合います(The strike is back! Workers across the world are turning to labor’s most powerful weapon. In this facilitated conversation, we will discuss how strikes are planned, how to get our coworkers on board, how to bring in community and labor allies, and how to find our employer’s pressure points)」というものであり、とてもワクワクするものであった。

この分科会の参加者は50~60名程で、台湾、香港、韓国、タイ、フィリピン、カンボジア、ミャンマー、バングラデシュ、アメリカ、日本等からの活動家や弁護士等であった。内容は、5~10名くらいの9つの小グループに分かれて、「どんなストライキがあるか(各国でどんなストライキをやっているか)?」「より効果的なストライキは何で、その理由は?」という問いについて話し合い、それを全体で報告しあって検討するというワークショップであった。

2 ワークショップ

(1) アジア各国において実践されているストライキ
各グループから、次のような実践例の報告があった(報告された実践例全てを記録できたわけではないので、紹介するのは一部のみである)。アジアではストライキが日本より厳しく規制されているところが多いが、日本の法が適用されても違法とされるであろうアグレッシブな実践例が多々あり、大変興味深かった。

・職場の中で何もしない、何もしゃ べらない
・仕事を止めて職場を出ていく
・スローダウン
・時限スト
・一斉休暇
・職場の電気を止める
・火災報知器を鳴らし「火事なので出よう!」などと呼びかけて労働者を職場から出す
・職場に入り込んで商品を壊す
・使用者の前で座り込みをする
・政府の建物の前で座り込む、デモをする
・高速道路を止める
・日本に対する悪感情などを利用して一体感を出す(また政府等からの攻撃をかわす)
・ストライキの基金(ストをしている間の生活費のための基金)を作る

(2) ユニオンみえの実践例
私が入った小グループは主にユニオンみえの実践例について報告をした。下記の①~⑥のような創意工夫のストライキである(下記の説明は私の理解であり、細かい点に誤りがあるかもしれないが、ご容赦されたい)。
このうち、ユニオンみえの実践では、下記④の「ダブルワーク・ストライキ、マルティプルワーク・ストライキ」が最も効果的とのことである(労働者はストをしながら他で働いて生活費を稼ぎ、一方でストの相手である使用者には社会保険料を支払わせてさらなる経済的な打撃を与えることができているとのこと)。

①工場の中での時限スト(30分や1時間)
②工場の外でのストライキ
正面出入口あたりでスピーチ等をする(工場内の労働者にも聞こえる)
③解雇された労働者による最後日でのスト突入
100%の賃金保障を要求し、会社が要求を呑むまでストを続けると宣言する(2、3か月は続ける)
④ダブルワーク・ストライキ、マルティプルワーク・ストライキ
ストに入ると賃金が出ないため、他のところで働きながらやる
⑤1人ストライキ
1人でストをし、工場の中に入って、働いている他の同僚に働きかける
⑥スローダウン
工場の生産が多い時期は効果的

3 おわりに

9つの小グループによる報告の後、成功したストの共通点等を全体で検討した。ストライキの計画や遂行における労働者間の意思疎通や合意、地域的・国際的な支援を受けて社会的な連帯で使用者を包囲すること、長期のストにおける基金などが挙げられた。

また、ストライキが全面的または部分的に違法とされていたり、ストライキを実行するのに高いハードルを課す法規制があったりする中で、「違法」かどうかで運動を決めるのではなく、労働者の正当な活動が「違法」とされることに対し闘うことが重要であるという指摘もなされた。

以上のように、本分科会は、アジア各国の活動家のストライキに関する経験や知恵に一挙に触れられる貴重な機会であった。