民主法律時報

勉学の秋、ブラック企業対策! 労働判例研究ゼミに学ぶ

弁護士 西田 陽子

1 秋の判例ゼミ、開催!
2017年11月15日、秋のブラック企業対策! 判例ゼミが開催されました。この時期のゼミは、毎年、司法試験合格者が多く参加するので、若手弁護士一同、はりきって準備をして臨みました。
当日は3名の 期修習予定者等にご参加いただき、「退職をめぐるトラブル」をテーマに、活発な議論が交わされました。以下では、その勉強内容の一部をご紹介いたします。

2 ゼミの内容
①丸一商店事件(大阪地判平成10年10月30日労判750―29。安原弁護士担当)
使用者からの勧告を受けて労働者が「辞めさせてもらいます」と返答した件につき、解雇と判断された事例です。使用者が労働者に対し、「残業をつけないか、それがいやなら辞めてくれ」と二者択一を迫ったことから、辞めるとの発言は、自発的意思表示ではないとされました。

②朋栄事件(東京地判平成9年2月4日判時1595―139。西川弁護士担当)
配転に従わない場合は退職するしかないとの提案に対して、「グッド・アイデアだ」と返答した件につき、退職の合意が否定された事例です。無断欠勤した労働者に対し「ファイアー!」(※英語で「解雇する」の意)と言った等、事案自体のおもしろさもあり、笑いの起きる場面もありました。

③大通事件(大阪地判平成10年7月17日労判750―79 。清水弁護士担当)
労働者が「会社を辞めたる」との発言をしたものの、辞職の意思表示ではなく、合意解約の申込みと解釈した事例です。「確定的に雇用契約を終了させる旨の意思が客観的に明らかな場合」の内容につき、修習予定者の方からの質問もありました。

④昭和電線電纜事件(横浜地川崎支判平成16年5月28日労判878―40。冨田弁護士担当)
退職願を提出しなければ解雇にされると誤信してなされた合意解約の申込みに対する承諾の意思表示を錯誤無効とした事例です。錯誤の要件の分析において、冨田弁護士の鋭い考察が光りました。

3 終了後懇親会
若手弁護士と修習予定者が、なりたい弁護士像、修習の心構え、弁護士の日常等について語り、楽しい時間を過ごすことができました。

4 今後の日程等について
次回は1月17日の開催を予定しています。判例ゼミは、予約不要、参加費無料であり、終了後に懇親会がございます(修習生、法科大学院生等は無料)。皆様、お誘い合わせの上ご参加下さい!
※奇数月第3水曜日18時30分~ 20時頃を定例としています。

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