民主法律時報

民法協 第64回定期総会のご報告

前事務局長 須井 康雄

2019年8月31日、大阪グリーン会館で、第64回定期総会を開きました。

萬井隆令会長の挨拶ののち、前半は、大阪府関係職員労働組合(府職労)執行委員長の有田洋明さんから「府民いじめの維新府政10年『二重行政』『身を切る改革』による大阪府の職場最前線! カジノ・巨大開発より暮らしと防災対策を!」との演題でご講演いただきました。

冒頭、さっそく、吉村洋文新府知事による職員の送別会をめぐる締め付けが取り上げられました。同僚の職員の送別会に関するやりとりを職場のメールで行ったことや、会費を府の設備で保管したことを職務専念義務違反とする動きに対し、組合として、裁判例にあたりながら毅然と対応した旨のご紹介がありました。

続いて、大阪市における思想調査アンケート、組合事務所使用不許可、大阪市における職員基本条例などとの闘いを紹介しつつ、これらの攻撃の背後にある「全体の奉仕者性」の否定という維新政治の問題点を有田さんは明らかにしました。

そのうえで、有田さんは、維新が喧伝する府市二重行政の解消が住民サービスの低下につながっていることや、維新が進めるベイエリア開発に防災上重大な問題があることなどを事実やデータに基づき、分かりやすく説明しました。

行政の現場の最前線で維新政治の問題と向き合う有田さんでなければ聞けない講演でした。維新政治との闘いは、安倍政権との闘いにも通じます。迫りくる「都構想」、憲法改悪反対の取組の出発点となる有意義かつ元気の出るご講演でした。

後半は、私から、2019年度の活動報告と、2020年度の活動方針案を報告しました。その後、①鎌田幸夫幹事長より解雇の金銭解決制度導入反対、②会員の西晃弁護士より憲法改正・国民投票法に関する行動提起をいただきました。

続いて、2019年度の決算報告と2020年度の予算案の提案を行うとともに、田窪五朗会員が会計監査報告を行い、活動方針案及び決算、予算案が承認されました。

その後、今年創設した本多賞の説明と表彰を行いました。本多賞は、民法協の元会長で、2008年に亡くなられた本多淳亮先生のご寄付を原資とします。表彰対象は、平和憲法や労働者・市民の権利擁護、民主主義の前進という民法協の目的の実現・推進に顕著な功績のあった会員や会員が主として活動する団体です。第1号の受賞は、非正規労働者の権利実現全国会議が行った派遣アクションの活動となりました。同会議は、2011年の設立以来、日本の非正規労働者をめぐる様々な問題に取り組んできました。派遣労働者について直接雇用申込みなし制度の適用が始まる2017年 月を前に、ホームページ上で相談を受付け、アンケートを実施し、団結や情報収集が困難な多くの派遣労働者の不安に応えるとともに、アンケート結果を公表し、派遣労働者をめぐる問題点を社会に広く訴えました。冨田真平会員の受賞スピーチも素晴らしいものでした。

続いて、①憲法改悪反対、②例外なき労働時間規制の実現、③解雇の金銭解決制度反対、④維新政治の転換を求める決議が承認されました。

新役員の人事案も承認されました。退任は、大阪労連の川辺和宏副会長、鎌田幸夫幹事長、私、足立賢介さん、和田香さん、鶴見泰之さん、片山直弥さん、清水亮宏さん、西田陽子さんです。新任は、大阪労連の菅義人副会長、弁護士の岩城穣幹事長、谷真介事務局長、喜田崇之さん、藤井恭子さん、冨田真平さん、大久保貴則さん、足立敦史さん、西川翔大さんです。就任・登録時期等の関係で、大阪労連の菅さんは2018年9月から、新事務局の足立敦史さんと西川さんは2019年1月から、その任にあたっていただいています。

最後に、豊川義明副会長より閉会の挨拶をいただき、第 回定期総会は終わりました。
2020年度も、新体制の下で、憲法改悪、解雇の金銭解決、裁量労働制拡大、副業兼業に伴う規制緩和、「都構想」など取り組むべき課題がたくさんあります。引き続きよろしくお願いします。

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