「行政デジタル関連法」に潜む危険 ~デジタル社会の実現はわれわれに何をもたらすのか?~

2021年06月15日

弁護士 佐久間 ひろみ

1 はじめに

2021年5月18日18時30分~「「行政デジタル関連法」に潜む危険~デジタル社会の実現はわれわれに何をもたらすのか?~」が開催されました。講師は龍谷大学政策学部教授の太田直弘先生、フロア発言者は坂本団弁護士 (マイナンバー違憲訴訟弁護団、日弁連情報問題対策委員会)、伊賀カズミ氏(国民救援会中央本部副会長)、仁木将氏(大阪自治労連書記次長)です。

今回の講演は、新型コロナの影響もあり、オンライン中心となりましたが、約50名と多数の参加となりました。

2 急速な行政デジタル化の背景

行政のデジタル化の流れは、2019年頃からすでに始まっており、新型コロナウイルスの影響もあり急速に進みました。2020年12月25日には、総務省が「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」を策定し、この流れを受けて、結局本年5月21日デジタル改革関連6法が成立しました。

このような急速な行政デジタル化の背景には、経済界の危機感や人口減少化における地方行政の在り方があります。特に、経済界の危機感は顕著であり、2020年3月に経団連が行ったコロナに関連する緊急提言でも、「Society5.0(サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会)」を目指すべきであると述べています。

3 デジタル改革関連6法の問題点について

行政のデジタル化には様々な問題点があります。
標準化された基幹情報システムをガバメントクラウドで運用するため、民間企業が参入することになります。また、地方行政のデジタル化は、自治体毎に異なる行政事務の標準化を前提としているため、自治体独自の工夫の余地を制限することになります。さらに、個人情報のオープンデータ化を前提としているため自己情報コントロール権を侵害する可能性もあります。

地方自治体のデジタル化を避けることはできないとしても、上記関連法には様々な問題点が多く含まれていることは明らかです。

4 まとめ

新型コロナウイルスに便乗する形で、急速な行政のデジタル化が正当化され、よく審議もされないまま法案が通ってしまいました。一般にデジタル化が進むことで便利になった側面もありますが、行政は重要な個人情報を保有しており、安易なデジタル化は大変危険です。今回の講演をふまえ、今後も行政のデジタル化の動きを注視していく必要があると感じました。