大阪の行政・教育を考える 2条例の制定を許さない府民集会に参加して

2012年03月28日

弁護士 藤 井 恭 子

1 中央公会堂に2000人を超える府民が集結
 去る2月22日、大阪市中央公会堂において、2条例(教育基本条例案・職員基本条例案)の制定を許さない府民集会が開催されました。
 この日、中央公会堂には、主催者の予想を遙かに超えて、2000人を大きく上回る参加者が集まり、会場は熱気に包まれました。
 集会においては、まず主催者挨拶として、藤木邦顕弁護士が現在の大阪府政・市政、及び、2条例案に対する運動の情勢を報告しました。
 また、劇団きづがわによる「教育基本条例残酷物語」と題する寸劇が上演されました。教育基本条例案が成立した時に教育現場がどのように変容するかがコミカルに描かれ、観客の笑いを誘うとともに、条例案が教職員と子どもにとって深刻な悪影響を与える内容を含んでいることを再認識させられました。
 昨年9月の維新の会による2条例案の提案と、それに続くダブル選挙があり、選挙後は橋下新市長による市職員に対する絶え間ない攻撃が続いています。
 このような厳しい情勢の中、これに屈することなく運動を続けるために何をしていくべきか、参加者全員が真剣に舞台に見入っていました。

2 条例案・橋下市政の問題点
 集会では、東京大学教授の小森陽一氏による講演が行われました。
 小森教授は、教育基本条例案が、子どもを「守るべき存在」として扱わず、グローバルな競争に勝てる「人材」としてしか見ていないこと、「人材」育成のために、教職員に対して徹底した統制管理を強いていることについて、教育の本質を見誤った条例案であって、断じて許すべきものではないと強い口調で述べられました。
 また、橋下市長・維新の会によるこの間の府政・市政のあり方についても、2月10日に実施が発表された「思想調査」アンケートなど、職員とりわけ労働組合を「敵」と見なして攻撃を行っていく手法について批判した上で、これからの市政・府政をただしていくためには、まずは橋下・維新の会を支持する市民と手を取り合っていくことの必要性を訴えました。
 そのためには、ただ単に橋下・維新の会のやり方が「独裁・ファシズム」であると批判するだけでなく、市民ひとりひとりと対話する必要性があること、なぜ橋下・維新の会の政治に問題があるのか、現在のままで本当に大阪が良くなっていくのか、市民のためになるのか、話し合い、理解を求めていくことが大切であると述べられました。
 小森教授による力強い講演の後には、各団体がリレートークを行い、2条例に反対するそれぞれの取り組みや、今後の活動について語られました。
 高校生や、婦人団体などは、周囲の人に2条例の問題について話して理解を求め、一緒に活動していく取り組みを行っていると述べており、市民同士の相互理解が今後の取り組みにおいて重要であると感じました。
 集会の最後には、2条例の制定を許さないアピールが全会一致で決議され、参加者全てが2条例に反対するための活動に取り組んでいくことが確認されました。

3 今後の大阪市・府政に関する運動について
 現在、橋下・維新の会による、大阪府民・市民への様々な「反動」的な攻撃が続いており、2条例案も維新の会の勢いのままに、成立に向けて進んできています。
 昨年の維新の会が提出した2条例案は、府民による強い反対運動の成果もあって、ダブル選挙後に一旦見直した後、改めて提出されることになりました。
 本集会後の2月28日、大阪府は、「教育行政基本条例案」と「府立学校条例案」を大阪府議会に提出しました。
 この両条例案は、昨年9月に維新の会が府議会に提出した条例案と同様、教育への政治介入を許し、教育の場に徹底した競争と管理統制を持ち込もうとするものです。
 また、同日に大阪府が議会に提出した「職員基本条例案」と「職員基本条例の施行に伴う関係条例の整備に関する条例案」も、昨年9月に維新の会が提出した「職員基本条例案」と同様、新自由主義的な自治体改変を狙う極めて危険な内容を含んでいます。
 松井知事は、重大な問題を含んでいる上記の条例案を、3月23日の府議会閉会日に強行採決しました。
 条例案は、大阪府の教育と地方自治を歪め、大阪府の子どもたちの将来に深刻な悪影響を生じさせます。
 また、大阪市においても、府提出の条例案と同様の内容の「教育」2条例案、「職員」条例案を大阪市に提出しましたが、各会派から批判や修正意見が相次ぎ、大阪市議会開会中の採決は困難であり、継続審議となる見通しです。
 この間、民法協では、3月5日に法律家団体8団体共催の集会、3月18日の2条例反対をアピールするパレードなど、大阪府・市の「教育」2条例案、「職員」2条例案の成立に強く反対し、府民に条例案の問題点を訴え続けてきました。
 大阪の行政と教育が、憲法の理念から外れ、歪んだ形となって未来に残されることのないよう、今後も問題の重大性を府民・市民に伝えていく活動を続けていく必要があります。