民主法律時報

まずは一人を救え 愛ある放送局なら――よみうりテレビサービス見せしめ解雇事件 裁判・府労委委員会例会

 民放労連朝日放送ラジオ・スタッフユニオン 執行委員長 吉 岡 雅 史

裁判・府労委委員会例会が2023年11月22日夜、エル・おおさかで開かれました。読売テレビの完全子会社「よみうりテレビサービス」による悪質な解雇で現在係争中の当該女性の訴えに、会場22人とリモート9人の計31人が耳を傾けました。

「会社にここまでされた私は何だったのか。同じことをしていた同僚が(私の解雇で)会社に協力していた。私は、好きで読売テレビで働いてきたのに。一刻も早く名誉と尊厳を回復したい」と、女性は声を振り絞りました。

女性は子会社で契約社員から無期転換となり、20年近く読売テレビ構内で働いてきました。ところが2020年1月17日、出社するや入館証を没収され、自宅待機を命じられます。満足な説明もなく、私物を整理する時間も与えられませんでした。そして2月14日に解雇通告。女性は個人加盟できる民放労連近畿地区労組に加盟し、苦悩の末2022年3月に提訴しました。被告はよみうりテレビサービスと読売テレビ、それにハラスメントを続けた上司2名(読売テレビ社員)の4者で、地位確認と損害賠償を求めています。

原告代理人の中西基弁護士は「会社は当初、解雇理由を7つもあげてきた。自信がなかったのかな。いずれにせよ、見せしめであり厄介払いの感は否めない」と、事件の悪質性を強調。言葉通り、会社側は審問のたびに、解雇理由を後付けで出し続けています。

その中には、母親の介護申請を「虚偽だ」と決めつけたものも。実際に認定した行政まで侮辱した形です。また、メンタル担当者が原告との相談を無断録音し、解雇相当の内容があるとして音声データを証拠提出。極めつけは、女性が職場のデスクで保管していた内科の診断書を返却せず、裁判所に提出しました。

診断書窃盗を組合が抗議すると「保管状況から診断書は私物ではない」と意味不明な論理を展開する始末。私物の一部を一方的に返却してきましたが、戻されていないものも多数あります。私物か否かの判断を誰が行ったのかとの組合の質問にも、「回答は差し控えます」と閣僚さながらの態度を貫きました。

読売テレビといえば〝愛は地球を救う〟を掲げるチャリティー番組24時間テレビで有名です。しかし実態は、法令順守の精神もなければ誠意も愛もない企業でした。中西弁護士は「証人尋問は春ごろになると思います」と、今後の見通しを述べました。証人尋問で会社側はさらにボロを出すでしょう。ブラック放送局に正義の鉄槌をくらわすまで、もうひと踏ん張りです。

民主法律時報アーカイブ

アーカイブ
PAGE TOP