民主法律時報

生活保護基準引き下げ違憲訴訟大阪地裁で勝訴 ―「生活保護基準引き下げ違憲訴訟を 支援する大阪の会」の闘い ―

全大阪生活と健康を守る会連合会(大生連) 大口 耕吉郎

1 生活保護引き下げ違憲訴訟/大阪地裁での勝利!

みなさん。ご支援ありがとうございます。

2013年、安倍政権は戦後最大(670億円)の生活保護基準の引き下げを強行しました(注1)。これに対し、全国1000人(大阪53人)の生活保護利用者が提訴しました。

7年におよぶ裁判の結果、2021年2月22日に大阪地裁は原告勝利の判決を下しました。判決内容は「統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性」を欠き生活保護法違反という画期的なものです。



2 大阪地裁で勝訴した要因

2021年2月27日の「大阪地方裁判所の判決に学び決起する集会」で、小久保哲郎弁護士は裁判に勝利した要因は、①勇気を持って立ち上がり声を上げた原告、②献身的な支援者の活動、③熱意のある弁護団、④全国の仲間の支援、⑤腹の座った裁判官の判断と述べました。

もう一つ付け加えるなら、コロナ感染拡大のもと貧困が拡大し、厚生労働省のホームページで「生活保護の申請は国民の権利〔略〕ためらわずに」と書くまでになった情勢の変化があります。

3 原告・弁護団・裁判を支える会の一体の闘い

裁判は大法廷で行われました。「生活保護基準引き下げ違憲訴訟を支える大阪の会」(以下・「支える会」)の各団体は公判期日の参加を呼びかけ、傍聴席を毎回満席にしました。

弁護団が重視したのは原告の生活実態です。陳述に立った原告は、生い立ち、生活保護を利用するに至った経過、保護費が引き下げられた苦しみを「自らの言葉」で訴えました。

法廷外の運動では、定期的な学習交流会、街頭での宣伝を定期的に行ってきました。

とくに2020年12月24日の結審から判決までの2ヵ月間、駅頭宣伝と裁判所前の早朝宣伝を強め、原告・弁護士・「支える会」がマイクで訴え、ビラを配布しました。裁判所前ではビラの受け取りは良く、熱心にビラを読む職員の姿が見られました。

宣伝内容は、厚労省のひどい引き下げのやり方と「生活保護はナショナルミニマムの岩盤、基準引き下げは、生活保護だけの問題ではない」ことを強調し、引き下げによって、各種減免制度や最低賃金(注2)などに影響がおよぶと訴えました。すでに就学援助は 万人の児童が認定除外になっています。

(注2)最低賃金法9条3項には「(最低賃金は)生活保護に係る施策と整合性に配慮」と明記しています。

結審後、「公正な判決を求める署名」を府下の多くの団体に要請し、短期間に約1万筆を集め、裁判所に届けました。またマスコミにも働きかけ、記者会見をして原告が苦しい実態を訴えました。

4 闘いは高裁へ

3月5日、敗訴した全自治体が控訴しました。闘いは高裁に移ります。生活保護基準引き下げを許さない闘いは続きます。原告・弁護団・「支援する会」は、大阪高裁で全力をあげて闘う所存です。今後ともご支援をよろしくお願いします。

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