民主法律時報

株式会社シマノ 労災事故被害の契約社員雇い止めに対し提訴しました

弁護士 南 部 秀一郎

 株式会社シマノは、堺市に本社工場を置くアウトドアスポーツ用品メーカーです。自転車部品、釣具等の製造を行っており、特に、高級自動車部品の製造については、世界トップメーカーです。堺市、下関市だけでなく、ヨーロッパ、アジア各国に工場を持っています。
 Tさんは、株式会社シマノの本社工場で、主力の高級自動車部品を製造するプレス機の操作を主に担当してきました。当初は派遣社員として、平成21年1月からは、期間1年の契約社員として、契約更新を繰り返しながら働いていました。シマノ本社工場は、正社員、契約社員、派遣社員が同じ職場で混在して作業を行っています。契約社員であっても、長期間勤続を前提とした有給休暇制度などをもっていて、Tさんは契約が毎年更新されていく期待を持っていました。
 そんなTさんに不幸が訪れたのは平成23年3月1日です。故障中のスライドコンベアから、部品を取り出すよう上司の指示を受けたTさんが作業を行っていると、その右手に材料缶のふたが落下。Tさんは、右手の中指・人差し指を骨折する重傷を負いました。しかし、株式会社シマノは、骨折の痛みで安静が必要なTさんに、治療を行う病院にまで社員が押しかけ、事故翌日から出社することを強要しようとしました。シマノは労災事故が多いことから、実際の事故よりも軽い「不休労災」として偽装をするためのようです。Tさんは、労災事故の補償と、労災事故後に出社を強要するような会社の体質改善を求めて、平成24年5月17日に、損害賠償請求訴訟を提起しました。
 Tさんは、優秀な社員で、労災事故以前は会社のボーナスの査定で最高のS評価を獲得したこともありました。また、労災があった平成23年度も、事故で右手が使えない状況でも、5段階の真ん中であるB評価を得ていました。しかし、提訴後の平成24年度になり、怪我の回復とともに、仕事の能率が回復した状況で、5段階の下から2番目のC評価に不当に評価を下げられました。そして、平成24年10月下旬に、成績が低いことを理由に、平成25年度の契約を更新しないことを通告されます。Tさんは、全国一般労働組合に加盟し、株式会社シマノと団体交渉を行いましたが、雇い止めは撤回されませんでした。その間、会社は損害賠償請求の訴訟で、大きく事実関係の主張内容を変え、訴訟は長期化しました。そして、平成25年12月27日、Tさんは雇い止めの不当を訴え、地位確認と賃金の支払いを求める訴訟を、大阪地裁堺支部に提起しました。
 Tさんの雇い止めは、Tさんの勤務成績につき、会社が労災があっても評価していたこと、労災事件の提訴後評価を下げられたことから、労災事件提訴の報復的なものです。Tさんは、不当な雇い止めから職場に戻れるよう裁判を闘っていきます。どうぞ、ご支援をお願いいたします。
 なお、本事件の弁護団は、労災事件提訴から担当している山﨑国満、南部秀一郎と、新たに加わった井上耕史です。

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