第3分科会「命と健康を守る」のご報告
弁護士 西川 翔大
第3分科会では、「命と健康を守る」を全体のテーマとして、①働き方改革の検証と労災補償の実態、②海外労働者の命と健康を守る仕組みづくり~海外労働連絡会の取組み、③労働安全衛生法の改正の動向まで、多岐にわたる内容について報告と議論が行われました。
まず、上出弁護士より「労災の補償状況に関する報告」がなされ、働き方改革以降、コロナ禍による経済の停滞により全体の労災件数は減少したものの、現在脳・心臓、精神障害ともに再び労災請求、労災認定件数ともに増加していることが報告されました。
次に松浦章氏(兵庫県立大学国際商経学部客員研究員)から「労働時間短縮と日本経済」と題するご講演がありました。世界的に見ても日本よりも労働時間が少ない国々では国民一人当たりのGDPが高い結果が示され、労働時間の短縮と賃金の上昇は単なる労働環境の改善にとどまらず、日本経済全体の生産性向上に寄与するというマクロな視点からの解説は大変示唆に富むものでした。続いて、村西弁護士からの「開示された36協定に関する報告」では、日本有数の大企業の働き方改革前後の36協定を開示し、36協定に変化があったのか比較しましたが、特に変化がない事実が明らかにされました。
中盤では、海外勤務者の夫を亡くされた当事者や私から「海外労働連絡会からの報告」が行われました。海外で働く労働者が直面する過酷な実態や権利侵害について当事者の切実な生の声をお聞きすることができ、国内法の枠を超えたグローバルな労働問題の深刻さを参加者全体で共有する貴重な時間となりました。
小休止を挟んだ後半は、川村弁護士による「改正労働安全衛生法」のレクチャーが行われ、フリーランス、高齢者といった労働者の健康確保に向けた実務上の留意点について分かりやすい解説を受けました。その後、上出弁護士より「労災保険制度見直しに関する議論状況」について要点が簡潔に報告されました。
最後に行われた会場内からの報告・感想では、各職場で奮闘する参加者から切実な実態や前向きな取り組みが次々と共有されました。多角的な視点から議論を深めることで、労働者の命と健康、そして権利をいかに守り抜くか、今後の活動に向けた決意を新たにする非常に有意義な分科会となりました。
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