民主法律時報

第3回労働相談学習会・入門編 外国人労働者の労働相談 ―聞き取りの留意点と対応―

 おおさか労働相談センター 舛田 佳代子

5月13日(火)国労大阪会館で第3回労働相談学習会を開催し、外国人労働者特有の相談ポイントを学習しました。講師はエヴィス法律会計事務所の江藤深弁護士。5産別・4地域・弁護士など計21名の参加がありました。主催者あいさつで川辺和宏所長は「外国人労働者の労働相談では、言語の違いや国民性の違い、よるべき法律の違いなど通常の相談とは異なる。原則を学んで、今後の相談活動に活かしたい」と話しました。

民法協事務局の加苅匠弁護士(大阪法律事務所)からは、注目すべき労働関係をめぐる情勢と裁判例の報告がありました。警部補の自殺をめぐる静岡県との和解、出血性胃潰瘍で会社が安全配慮義務違反を認めて(消化器疾患での受け入れ異例)和解など過労死問題がいまだに続いている。長時間労働の問題では、徳洲会病院医師の違法残業に指導、児童相談所職員の長時間労働で未払い賃金と慰謝料の支払いの命令などが紹介されました。フリーランス問題では、アマゾン配達員の労災認定(2例目)、取引に契約書がない等の違反があるとしてゲーム会社など45社に公取委が指導したことを紹介した上で、まずは労働者性で勝負し、労働者性が難しい場合でもフリーランス新法の活用を考えることができると指摘しました。

学習会では、民法協のマイグラント研究会に所属する江藤深弁護士を講師に外国人労働者の労働相談への留意点と対応のポイントを学びました。外国人に関しては、憲法に基づく基本的人権の保障が原則にあるものの、外国人在留制度が前提になるため在留制度を意識しながら相談に応じざるを得ないと指摘。在留制度を出入国管理庁HPの在留資格一覧表を見て学びました。

後半は設定された解雇に関する相談事例をもとに、相談のポイントにせまりました。労働組合として留意することとして、在留カードの確認をすること、在留制度を前提にした上で残業代の未払いや不当解雇、ハラスメント対応や労災問題等に、労基法や労契法に基づいて対応することを確認しました。言語の問題や入国時の借金、強制送還の恐れなど特有の問題はあるが、労働組合の団結権や団体交渉権を最大の武器にして、見捨てず仲間意識を持って交渉すること、法律家や支援団体と密な関係を持つことが大切だと強調されました。

外国人労働者の相談では、言葉の壁や考え方の違い在留制度のわかりづらさなど、対応に悩む場面がたくさんあります。ポイントを絞った解説や事例を使った対応の留意点など、短い時間でしたが相談や交渉で大切にすべき点が分かりやすく学習できました。

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