弁護士 西川 翔大
2020年6月16日(火)に大阪労連会議室で、労働審判懇談・交流会が開催され、弁護士や労働組合より 11名が集まりました。
今回は、新型コロナウイルスの影響による緊急事態宣言下で、大阪地方裁判所労働部の裁判及び労働審判の4月・5月の期日が取り消された影響や今後の進行について意見交換を行いました。
労働審判を申し立てる労働者は迅速な紛争解決を目指しており、労働審判の第1回期日は、申立てがあった日から40日以内に指定されなければなりません(労働審判規則13条)。
しかし、4月・5月の期日が取り消され、6月以降に期日が再指定されている状況において、4月・5月に労働審判を申し立てたとしても、40日以内に指定することは難しいという連絡が裁判所からあったという報告がありました(参加した弁護士より)。特に新型コロナウイルス感染症の影響により、休業を余儀なくされた労働者が休業手当すら出されない場合には、労働者はその間一切の収入がなくなり、生活を維持することすら困難になります。確かに新型コロナウイルスの感染拡大は防止する必要がありますが、労働者にとっては死活問題であるため、迅速な労働審判の期日指定は不可欠であり、今後新型コロナウイルスの第2波が訪れた場合でも今回のような期日の取消しは避けなければならない、という意見がありました。
また、期日が延期された影響で、例えば飲食店など新型コロナウイルスの影響が直撃するような会社は経営を維持することすらできずに、倒産してしまう可能性も想定でき、労働者の救済が図れなくなることが懸念されるという意見もありました。
新型コロナウイルス感染症が労働裁判及び労働審判に与える影響は今後も引き続き注視して検討していく必要があります。