民主法律時報

「ほんまにええの? TPP大阪ネットワーク」結成

全大阪消費者団体連絡会 事務局長 飯 田 秀 男

説明責任と国会決議遵守を求めて
 3月8日、「ほんまにええの? TPP大阪ネットワーク」(以下、「大阪NW」)が結成され、その記念シンポジウムが開催された。8日までに民法協を含む27 団体の賛同・加入があり、申し合わせ事項とともに確認された。「大阪NW」の代表には樫原正澄関西大学教授が就任した。「大阪NW」は、日本政府に①TPP交渉における国民への説明責任を果たすこと、②衆参農林水産委員会における国会決議を遵守することを求めて運動をすすめる。

規制緩和政策とTPPは表裏一体
 これまで、米国は米国通商代表外国貿易障壁報告書等で食の安全基準や医療、公共事業、保険、自動車、通信分野などの市場開放・規制緩和とともに、米国企業の利益を損なうとして、ジェネリック医薬品の認可先送りや喫煙抑制広告の制限を日本政府に迫っている。既に、日本政府はBSEの輸入月齢緩和やがん保険の市場開放、軽自動車税の引き上げなどを行い、米国の要求を受け入れている。
 安倍内閣は、産業競争力会議や規制改革会議によって国内の規制緩和政策をこれまでの政権以上に加速させている。この規制緩和政策は、米国通商代表外国貿易障壁報告書に代表される米国からの規制緩和圧力と表裏一体をなすものである。したがって、国内の規制緩和が、TPP協定の先取り的な役割を果たすことも十分考えられる。

国民生活と国の形を変えるTPP
 8日の記念シンポジウムでは、医療、労働・雇用、郵政、公共事業分野の規制緩和の進行によって脅かされる国民生活について、4つの専門分野から報告を受けた。報告では、①米国の圧力や規制緩和政策で一層の市場化が推し進められ、医療制度や雇用ルールが改悪されて格差と貧困が広がってきたこと、②米国の要求に沿って郵政民営化が推し進められ、その国民的財産が内外の大企業に狙われていること、③道路や橋梁などの社会インフラ資本が更新期を迎えている中、内外の大企業が利益を求めて日本市場を虎視眈々と狙っていることが明らかになった。これらの延長線上にあるTPPへの加入は、まさに国民生活と国の形を変えることに直結することも鮮明になった。

撤退するしか道のないTPP交渉
 4月のオバマ米国大統領の訪日までに日米2国間協議の合意を図りたいとする日本政府に、米国は様々な圧力を行使することによって一方的譲歩を迫っている。日本政府のとるべき道は、TPP交渉から撤退する以外に選択肢はない。

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