弁護士 松村 隆志
6月21日(土)に「過労死・ハラスメント労災110番」が実施されました。過労死110番は「過労死110番全国ネットワーク」主催で、今年で38回目です。全国30か所で一斉電話相談が実施され、大阪では大阪過労死問題連絡会の弁護士10名が参加し、10時から15時までの間に合計12件の相談をお聞きしました。
相談の内訳は、労災補償に関する相談が1件、ハラスメント・過重労働に関する相談が6件、その他が5件でした。近年の傾向と同様、今年も、長時間労働に関する相談は少なく、ハラスメントに関する相談が散見されました。また、全国では183件の相談が寄せられました。
私が印象に残ったご相談は、新入社員との関係に悩む上司のご家族からの相談です。新入社員が社内ルールを守ろうとしないことについて上司から指導したところ、部下から反発を受けて自説を主張され、また、職場に対してパワハラの被害申告もされて、人事から調査を受けたことにより精神的に不調となったという、いわゆる「ハラスメント・ハラスメント」と呼ばれる事案です。
ハラスメントについての認識が広まり、被害を受けたと考える方が適切に相談できる体制が整えられることは非常に重要なことです。ただ、客観的に見て適切な業務指示・指導であっても、指示・指導を受けた方が主観的にパワハラだと感じ、被害申告される場合も構造上一定数生じてしまうわけですし、そのような訴えをされた側が相当な心理的負荷を受けることも容易に想像できます。非常に難しい問題ですが、事業場としては悩みを一人で抱えなくて済むように、気軽に相談できる組織を作ることが重要なのではないでしょうか。民法協では、毎週金曜日(18時~20時)に常設ホットラインを実施しているほか、メールでの相談予約も受け付けています。お悩みの方は、お気軽にご相談ください。