プリントパック事件、和解で解決!

2019年01月15日

弁護士 諸富  健

1 はじめに

「ネットでいんさ~つ、プリントパック」というフレーズ、CMで聞いたことがある方もおられるのではないでしょうか。プリントパックは、創業わずか 数年で年間売上を100倍にも伸ばした印刷通販の大手企業です。
プリントパックを舞台にした2つの不当労働行為事件について、ご報告します。

2 第1次不当労働行為事件

2013年11月1日、若者2人は組合結成を会社に通知して団交を申し入れました。すると、会社はわずか1週間で2人とも異動させ、出勤時間を1時間遅らせたり残業させなかったりする措置をとりました。その結果、2人の労働時間は短くなったのですが、そのことをもって会社に対する貢献度が足りないなどとして、昇給や賞与の支給をほぼ行わなくなりました(うち1人に対して1度、他の従業員より少ない昇給・賞与の支給があっただけ)。

そこで、2015年2月10日、京都府労働委員会に救済を申し立てたところ、府労委は2016年7月19日にこちらの言い分をほぼ認めた救済命令を出しました。会社はこれを不服として再審査を申し立てましたが、会社の言い分は通らず、2017年2月13日に中央労働委員会で和解が成立しました。この和解では、様々なことが定められましたが、そのうち公開が認められたのは、①良好な労使関係の構築に努めること、②解決金の支払い、賃金額の是正、組合が社業発展に協力すること、組合員が労働契約に従って就労すること、③会社の労働関係法令の遵守義務の再確認、組合・組合員が不当な言動を行わないこと、④労働時間の短縮に向けた生産性の向上・勤務体制の改善努力、⑤会社が誠実に団体交渉に応じること、の5点です。

3 第2次不当労働行為事件

2017年11月6日、新たに1名の若者が組合に加入したことを会社に通知。すると、わずか4日後、第1次事件で証言に立った常務取締役がこの若者を呼び出し、40分以上にわたって組合脱退をもちかけるという事件が発生しました。この若者は、賢明にもこのやりとりを録音していたのです。その内容を聞くと、不当労働行為であることは明らかでした。そこで、同年 月 日、再び京都府労働委員会に救済を申し立てました。

こちらは第1次事件以上に結論が明らかでしたので、労働委員も不当労働行為の心証を抱きながら、早期の段階で和解を勧めてきました。こちらとしても、救済命令をもらってもよいが、それ以上の内容であれば和解に応じるという強気の態度で和解に臨みました。

その結果、2018年10月11日に和解が成立しました。以下、一部抜粋します。
「1 (常務取締役が組合員に話したことは)その内容が組合員の申立人組合加入が同組合員にとって将来不利益になることもあるかのような内容に及んだ点において不適切であり、労働組合法が禁止する不当労働行為に該当する行為であることを確認し、申立人組合に対し謝意を表明し、今後このようなことを繰り返さないことを誓約する。」
「4 申立人組合及び被申立人会社は、中央労働委員会における平成29年2月13日付の和解の遵守が、今後の相互の信頼関係の構築にとって肝要であることを改めて確認する。」

4 終わりに

2つの事件を通して、若者達が成長する姿を間近で見ることができたことは大変幸せでした。また、わずか数名の若者達が、会社に残って働きながら会社と闘い続けて和解を勝ち取ったことは、全国の組合員を励ましたことだろうと思います。
彼らは、さらに組合を大きくし、長く働き続けられる職場にしようと決意しています。今度こそ良好な労使関係を構築することができるか、今後の彼らの闘いを見守っていきたいと思います。

 (弁護団は、中村和雄、塩見拓也、 当職です。)