声明

「日の丸」常時掲揚・「君が代」起立義務づけ条例案に反対する声明

2011年05月25日

 大阪維新の会・大阪府議会議員団は、25日、大阪府議会に、大阪府の施設において「日の丸」を常時掲揚することや、府立学校等の行事において「君が代」を斉唱する際、教職員に起立を義務づけることを盛り込んだ条例案を提出した。

 「日の丸」も「君が代」も、他国に侵略し、国内を戦争へ統合する象徴として機能してきたことから、忌避感を有する府民・府職員も少なくない。そのような府民・府職員に、「日の丸」を掲揚して敬うことや、「君が代」を起立して斉唱させるよう求めることは、憲法19条に保障された思想・良心の自由を侵害するものといわざるを得ない。この点、東京高等裁判所は、3月10日、都立学校の教職員が卒業式等の学校行事で「君が代」を起立して斉唱しなかったことを理由とする懲戒処分について、教職員の不起立が「歴史観ないし世界観又は信条及びこれに由来する社会生活上の信念等に基づく真摯な動機によるもの」であり、このような行為に懲戒処分を課すことは社会観念上著しく妥当を欠き不適法であるとして、その取消を命じている。本条例案が、府職員に保障された憲法上の自由・権利を侵害するものであることは明らかである。

 加えて、教育の場において、愛国心を押しつける手段として、生徒・児童に「君が代」を斉唱させることは、国旗国歌法や学習指導要領など何らの法令に基づかないものであって、その際に教職員が起立すべき法的根拠はまったくない。にもかかわらず、条例によって起立を義務づけることは違憲・違法というべきである。このような強制は、教育とは無縁のものであって、特定の思想・信条を受け入れさせることをもって愛国心を高揚させるのは時代錯誤も甚だしい。

 大阪維新の会の代表である橋下徹・大阪府知事は、9月府議会にも、起立義務づけに従わなかった教職員について、氏名公表などを含む処分の基準を定める条例案の提出も検討していると報じられているが、教育行政に対する不当な支配(教育基本法16条1項)そのものであり、およそ許容される余地はない。

 そもそも、「日の丸」を常時掲揚するとの条例案は、自由民主党議員団が一昨年の11月府議会に提出を決めながら、他会派の賛同が得られず断念したという経過がある。府民の良識は、すでに、条例によって愛国心を強要することを明確に否定する判断を示しているのである。このような条例案の提出は、府民の良識に対する挑戦であり、断じて許されない。

 当協会は、このような違憲違法の条例案の提出に対し抗議するとともに、良識ある府民とともに、その成立を阻止するために全力を挙げてとりくむものである。

2011年5月25日
民 主 法 律 協 会
 会 長 萬井 隆令