民主法律時報

非正規全国会議 アンケートに基づき 政府に「提言書」提出

「非正規全国会議」共同代表 脇田  滋(元龍谷大学)

 非正規労働者の権利実現全国会議(以下、「非正規会議」)は、新型コロナ関連のアンケートを実施し、その結果を基に政府に提言書(1次、2次)を渡しました。

まず、急速に広がるる感染症をめぐって、雇用と生活がどのような状況にあるかを把握することを目的に、2020年3月18日からホームページを通じて非正規雇用労働者とフリーランスの方を対象に回答を記入してもらうアンケート調査でした。3月31日までに予想を大きく越えて全国各地から272件の声が寄せられました。

回答者は「関東」が58%と半数を超え、「年齢層」は30~50代に広がり、「性別」では女性が77%でした。「勤務形態」では、派遣、フリーランス、パート・アルバイト、有期雇用の順で、「業種」は飲食・小売、教育関連、イベント、医療・福祉、旅行・観光が目立ちました。「新型コロナの影響」は、自宅待機・勤務時間の減少(38%)、仕事のキャンセル、請負・委託の解除(20%)でした。

寄せられた声を踏まえて非正規会議として、4月6日、政府に「提言書(第1次)」を伝えました(表参照)。

しかし、4月7日、政府が「緊急事態宣言」を発出してから状況が大きく変わりました。休業や仕事の打切りが格段に広がったのです。切実な窮状を訴える回答が4月30日までに249件も寄せられ、総計521件に達しました。

回答内容は1次と2次でほぼ重なりますが、2次では「正社員は時差出勤やテレワークがあるが派遣社員は通常出勤」(21名)、「新規の仕事がない・客が来ない」(7名)などの声が目立ちました。自由記入欄では、①雇用・仕事を失い、家族を含めて生活が大きく脅かされている、②日々の業務で感染の危険にさらされる、③普段以上の過重労働があることが浮かび上がりました。とくに、「個人請負」で働く方の不安定性と無権利性が深刻であることが特徴です。

全体として、今回の「コロナ危機」は、雇用維持と緊急の生活保障について、弱い立場の労働者、就業者に対する特別な規制・措置の必要性があることが明らかになりました。これを受けて、5月7日、提言書(第2次)を政府に提出しました(表参照)。

なお、提言書、アンケート結果の詳細は、「非正規会議」ホームページ(https://www.hiseiki.jp/cronavirus.php)をご覧ください。

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