民主法律時報

格差是正の大きなうねりを! ~労契法20条裁判学習会報告

弁護士 加苅  匠

1 労契法20条裁判の総括

2019年5月28日、エル・おおさかで「格差是正の大きなうねりを! 労契法20条裁判の闘いの成果を職場で活かそう!」と題した労契法20条裁判の学習会が開かれました。当集会は、連合大阪法曹団、大阪労働者弁護団、民主法律協会の共催で開催され、当日は119人が参加しました。職場での関心の大きさが窺えました。

労契法 条裁判とは、期間の定めがあること(有期契約)によって、期間の定めがない労働者(正社員)との間で不合理な労働条件の相違が発生している場合に、使用者に対して当該労働条件の相違分を金銭請求する裁判です。

2 全国の労契法20条裁判が集結!

2018年6月1日にハマキョウレックス最高裁判決、長澤運輸事件最高裁判決が出された後も、全国各地で非正規社員の格差是正を求めて闘われています。当学習会には、①ハマキョウレックス事件、②郵政西日本・東日本事件、③大阪医科薬科大学事件、④メトロコマース事件の弁護団・原告が一挙に集結し、各裁判の意義や課題、加えて職場での取り組みについて報告いただきました。また、河村学弁護士より、労契法20条裁判の総括として、これまでの裁判の到達点や今後の取組のポイントについて解説していただきました。加えて、3名の参加者から各組織の課題や取組みについて発言していただきました。

3 闘いの成果を職場で活かそう!

同じ職場で同じ仕事をしているのに、正社員に比べて給料が低く、賞与も手当もない・・。そういった悩みを抱えている有期契約社員の方々は多いのではないでしょうか?

全国各地で闘われている労契法20条裁判では、皆勤手当や住宅手当等の手当不支給の不合理性はもちろんのこと、賞与や退職金を全く払わないことや、夏季休暇を与えないことが不合理であると認める判決も勝ち取ってきました。

しかし、このような闘いの成果は広く職場へ伝わっているとは言えず、まだまだ知らない人が多いのが現状です。月数千円の手当が支給されるだけでも、労働者にとっては大変大きな成果です。格差是正のためには、各職場で格差の総点検を行い、使用者へ格差の説明を求めること、そしてなにより闘いの成果を有期契約社員へ周知することの大切さを確認することができました。

労契法20条裁判が全国各地で盛り上がっています! 裁判での闘いと職場での闘いを相互に活用し、ともに「格差是正の大きなうねり」を起こしていきましょう!

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