弁護士 藤井 恭子
1 大阪労働者弁護団との共催による学習会
2025年12月5日に、完全オンライン(Zoomウェビナー)で「非正規公務員の問題を考える学習会-非正規公務員制度の立法提言について-」を、民主法律協会と大阪労働者弁護団が共同で開催しましたので、内容などについてご報告します。当日は、弁護士、研究者、労働組合などから最大で25名が参加されました。
2 非正規公務員の問題と立法提言の内容
まず、貝塚市で会計年度任用職員として勤務されている曽我知良さん(貝塚市職労)から、貝塚市における非正規職員の処遇改善の取り組みや現在の到達点、自治体間の処遇格差の問題などについて報告をしていただきました。
次に、小野順子弁護士から、非正規公務員の問題を、2000年代から進められてきた「定員管理」という名の正規公務員削減の経過を踏まえて解説していただきました。本来、公務を担うのは正規職員であるべきとの原則が維持されているにもかかわらず、正規職員削減政策が推し進められた結果、公務サービスを維持するために非正規公務員が増加し続け、非正規公務員の比率が各自治体で大きくなっているという経過と現状が明らかにされました。また、2020年4月から、改正地方公務員法により会計年度任用職員制度が施行され、それまでは任用根拠が不明確だった非正規公務員の任用根拠が、規定上明らかとなりました。しかし、任用が会計年度ごとであるため雇用は不安定であり、また、正規職員が受けられる各種手当の補償がなく賃金やその他労働条件が劣悪であるという問題は全く解消されていません。更に、正規職員も同様ですが労働基準法等の適用がなく、雇い止めを訴訟で争うことが極めて困難であり、労働者として保護されていないという問題があります。
これら非正規公務員が抱える問題を受けて、城塚健之弁護士より、日本労働弁護団が2024年11月に出した「非正規公務員制度立法提言」について解説をしていただきました。日本労働弁護団は、非正規公務員の処遇格差や雇い止めについて、長年にわたり裁判闘争を続けてきましたが、非正規公務員の訴えが現在に至るまで認められてこなかった経過について説明をされました。その上で、「非正規公務員制度立法提言」では、会計年度任用職員の任用を規制する「入口規制」を設け、会計年度任用職員を任用できるのは、その職務が一会計年度で終了する場合に限定する制度の導入が提案されています。さらに、このような「入口規制」を設けない場合は「出口規制」として、雇い止め制限や無期転換制度を設けるべきことが提案されています。最後に、河村学弁護士から、鳥取県で独自に実施されている、実質的に常勤職員よりも短時間での勤務をさせられる期間の定めのない任用方式「鳥取方式短時間勤務制度」を紹介していただきました。
3 学習会の感想と今後の取組み
非正規公務員(会計年度任用職員)が各自治体で増加し続けている背景に公務員削減政策があり、そもそも公的サービスは正規職員が担うべきとされていることとの矛盾が非正規公務員の雇用の不安定さや労働条件の劣悪さとして取り残されていること、そして会計年度任用職員の任用を限定的にするための法制度が必要であることが、よく理解できる学習会となりました。
しかしながら、公務員が正規から非正規に切り替わっていることについて認知は広がっているものの、非正規公務員の労働条件などに大きな問題があることについては、まだまだ問題意識が広がっていません。当事者と関心がある少数の層だけではなく、多くの人に、現状の問題と、それを解決するための立法提言の必要性について、関心を広げる取組みを続ける必要があることを強く感じました。






