民主法律時報

8月開催 ブラック企業対策! 労働判例ゼミについて

弁護士 片桐 誠二郎

8月18日(月)にブラック企業対策!労働判例ゼミを開催しました。テーマは「退職金の減額・不支給」です。参加者数は14名(zoom9名+現地5名)でした。参加者は弁護士、労働組合の方々だけでなく、法科大学院生2名参加されました。
今回、検討裁判例としては、市営バス運転手が運賃を着服した等を理由として退職手当全額を不支給とされた事案に関する最高裁判決(京都市営バス事件・最一小判決令和7年4月17日裁時1861号1頁)、及び、同判決で引用されている宮城県事件(最三小判令和5年6月27日民集77巻5号1049頁)に加え、民間会社での不支給事例として直近の裁判例であるマニュライフ生命保険事件(東京地判令和6年10月22日労経速2579号3頁)を取り上げました。

参加者間では、京都市営バス事件・最高裁判決の妥当性や民間と公務員において判断枠組みを区別すべきか、今後の裁判への影響等々、活発な議論がなされました。また、懲戒処分に関しては、懲戒処分前の弁明について相談を受けた際の対応につき悩ましい場合がある(当不当はさておき、全面的に否定すると「反省の態度がない」とされることがあるため)といった実務上の悩みも共有でき、大変有意義なゼミとなりました。

次回の判例ゼミは、10月20日(月)午後6時からzoom併用で開催します(現時点でテーマは未定です)。ゼミでは、検討裁判例だけでなく取り上げたテーマ(論点)が問題となっている案件のお悩み相談会的な側面もありますので、お手持ちの案件でお悩み等がございましたら、お気軽にご参加・ご発言ください。
なお、私は先日の総会をもって事務局を退任しましたので、次回は新事務局の先生からのご案内となります。2年間、大変お世話になりました。今後も一会員として判例ゼミに参加させていただくつもりですので、引き続きご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

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