民主法律時報

2026年権利討論集会 分科会報告

第1分科会 労働事件における「最善の解決」を求めて-権利闘争の最前線

大阪争議団共闘会議副議長  吉岡 雅史

 第1分科会は『労働事件における「最善の解決」を求めて-権利闘争の最前線』をテーマに例年通り3部構成とし、総勢50人が参加しました。今回も終了予定時刻をオーバーするほど活気ある討論が行われました。

第1部「奈良教育大学附属小学校不当出向事件の和解に学ぶ」は、代理人の兒玉修一弁護士をパネラーに、原告3人から話を伺いました。司会は原野早知子弁護士。
この事件は2024年度、学習指導要領に反した授業をしているとして、原告3人が公立小学校に出向させられたもの。結果的に1年で職場復帰は実現し、2025年夏に奈良地裁で和解が成立。原告らは「やれるだけのことをやった。組合活動の成果だ。保護者たちが理解してくれたことも大きい。」と胸を張って話しました。兒玉弁護士も「奈良地裁の傍聴席は定員70人ほどですが、毎回満席になった。学長も裁判を気にしていた。」と原告らの頑張りを讃えました。
関連して、東海大王製紙パッケージ愛知工場で起きたセクハラ&パワハラ事件で、東海大王製紙パッケージ労組の竹内俊博委員長が裁判の状況を説明し、今後の決意も述べました。また、判決言い渡しを3月30日に控える門真市職員労組の「騙し討ち懲戒事件」の原告・東弘さんから、経過報告と傍聴依頼がなされました。

第2部は不当労働行為に重点を置き、司会を西川大史弁護士、パネリストは大阪医労連の前原嘉人書記長が務めました。組合アンケートの集計を軸に、団交にまつわる成功例・失敗例などを詳しく紹介。西川大史弁護士は「争議は減っても団交は減らない。その団交がだんだん巧妙になっている。」と警鐘を鳴らしました。前原さんは「コロナ禍に組合が頑張り、組合員が倍増したケースもある。」などと活動の意義を改めて強調しました。
フロア発言では、建交労大阪府本部の荻田智書記長から「労基署の会議室で監督官同席のもと団交を開催した」との特殊ケースが披露され、会場がどよめく一幕も。近年は公共施設を団交会場に使用するケースが目立つといい、閉館時間を気にするあまり短時間交渉になりがちな心理状態にも注意が必要だとしています。

労働審判の活用(手続き選択問題)を取り上げた第3部では、弁護士アンケートの集計分析も行われました。安原邦博弁護士を司会に、原野早知子弁護士、西川大史弁護士が再度登壇。3氏とも「早期解決の利点はあるが、解決水準があまりに低すぎる。特に大阪地裁。」と危機感をにじませています。件数も2020年には全国で約3900件あった労働審判が2025年は約3400件に減少。そんな中で、スピード解決をうたい文句にする法律事務所や弁護士への依頼が増え、相場よりも低い水準での決着に拍車がかかっているのでは、との問題提起もされました。
最後に現在闘争中の公認会計士協会不当解雇事件、助成金不正受給で注目を集める絆ホールディングスによる不当労働行為からの不当解雇事件、ロイヤルホームセンターでの不当労働行為事件、そして大阪大学非常勤講師大量解雇事件の各原告から支援要請が行われ、参加者から激励の拍手が送られました。

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