民主法律時報

第3回労働相談懇談会「変形労働制について」

おおさか労働相談センター事務局長 福 地 祥 夫

本年度の第3回労働相談懇談会を4月27日18時30分より国労大阪会館で開催しました。今回の学習テーマは「変形労働制について」で、前回に引き続き労働相談入門編として基礎的な学習を行いました。今回の講師は民法協幹事である加苅匠弁護士に、「労働裁判・労働委員会に見られる情勢報告」は民法協事務局の佐久間ひろみ弁護士にそれぞれ担当していただきました。

参加者は7産別9地域組織の労働組合員と弁護士、個人など40名で、今回は尼崎労連、宝塚地区労連からも参加がありました。

1 情勢報告(23年2月3日~4月22日)

2023年2月3日以降の裁判や労働委員会で扱われた事例のうち特徴的な24の事例について報告と解説が行われました。

注目したのは、宇城市の元職員がコミュニケーション能力、業務上の能力等を問題に分限免職処分を受けた事件で、熊本地裁が「指摘する問題点には業務に大きな支障を生ずるものはほとんど見られず、原告の能力や意欲の欠如を裏付ける事情としては不十分」「一方的な評価に基づき処分手続を進め、十分かつ慎重な組織的検討がされたとは認められない」と、市の処分を取り消す判決を言い渡した(3月24日)事例です。

2 学習会:変形労働制について

今回は入門編として変形労働時間制の制度内容、注意点、訴訟上の位置づけと争点、などについて1ヶ月単位の変形労働時間制の事例を中心に具体的な学習を行い、変形労働時間制の要件チェック表を参考にしながら、労働相談時のポイントについて学習を深めました。

労働基準局通達では「就業規則において各直勤務(各シフト)の始業終業時刻、各直勤務の組合せの考え方、勤務割表の作成手続及びその周知方法等を定めて」おくことが求められ(昭63.3.14基発150号)、裁判例では労働パターンの組合せの法則、勤務割表の作成手続や周知方法等を定めておくことが求められる。法定労働時間を超える日及び週をいつ、何時間にするのかについて使用者が無制限に決定できるような定めを置くだけでは、特定の程度として足りない(岩手第一事件)とされています。

この点に関して建交労府本部から、シフト表の発表時期が明確でない事例で労働局に確認したら「現状の法律では違法とは言い切れない、是正指導は出来るが是正勧告までは出来ない」と回答があったこと、今日の学習を元に労働局への申入れと法の改正を求めていくとの決意が述べられました。

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