大阪労連北河内地区協議会 事務局長 青山 一見
2019年12月1日(日)北河内地区協議会は、民主法律協会の協力を得て「職場、地域に頼りにされる労働組合に! 北河内第35回権利討論集会」を、おおさかパルコープ寝屋川組合員会館で開催しました。午前の記念講演には46名、午後からの分科会には39名、半日参加者を含めて52名の参加でした。
午前の記念講演は、谷真介弁護士(民主法律協会事務局長)から「今こそ改めて憲法 条=労働基本権を職場の中心に」というタイトルで講演をいただきました。
枚方市職労事件との関わりでは、政治的中立性を装った表現の自由・組合活動の抑圧であることを、金沢市の集会会場の使用拒否事件や松原市での施設使用拒否事件など全国の例に触れ、「機関紙の内容への介入や、労働組合事務所の使用への一方的条件変更そのものが労働組合活動に対する支配介入・不当労働行為であり、現場で萎縮しない闘いが必要」であることが強調されました。
また、守口学童労組事件では、1990年代末から財界の「規制緩和」「官から民へ」という新自由主義的要求に基づく「構造改革」路線の時代背景から、現在の自治体アウトソーシングが進められてきたこと、受託業者の利益を確保するために人的経費の削減やサービス水準の低下が避けられないという問題点が明らかにされました。そして、労働組合がサービスの受け手である住民と連携し公共サービスを低下させない取り組みや労働環境の維持改善、労働者の組織化が重要であると強調されました。
記念講演に対するアンケート記入では、「今おきている背景や全国の事例が理解できた」「労働組合の存在、大きな役割があることを実感できた」「憲法や労働組合法を学ぶことが大事」などの感想が寄せられていました。
午後は、①「労働者の権利を守り、充実させる処方箋」②「子どもたちが安心して学べる学校に」③「生活の拠点=地域で頼りにされる労働組合に」という、3つの分科会を行いました。毎回の事ですが、それぞれの分科会には10数名が参加し、全員の自己紹介や特別報告もあり、絞った論議にはならないという悩ましい現実があります。
その中でも、今年は教員の変形労働時間の問題や学校でのパワハラ等、維新による大阪の教育の異常さもあり、第2分科会の「教育・学校」の分科会には北河内7市の教組に参加を呼びかけ、教組以外の組合とも状況の共有を図ることを企画しました。そして寝屋川市教組では職場のパワハラ問題の実態アンケートでは組合員数を大きく上回る回収と市教委への要求書提出の取り組みや、大東市教組と交野市教組からも「画一的な研修が多い」「放課後も子どもたちや親の対応がありゆっくり考える時間がない」などの現状や悩みが報告されました。他の参加者からは、「子どもも教師をしているがそんな実態とは知らなかった」など率直な意見も出されました。
第3分科会の職場・地域に根付いた労働組合づくりでは、「小さなことでも解決・実現した経験を積んで信頼が得られる」「組合活動の見える化、組合にしかできないことがあるのではないか」など討論されました。
最後に参加頂いた7人の弁護士の皆さんから感想を頂く中で、「今の若者は職場環境の改善という面倒なことではなく、他の職場に安易に転職する傾向があるのではないか」「公務職場での権利攻撃に対して組合として市民に説明できているのか、市民に応援団になってもらうためにどうしたらいいのか」との指摘もありました。
第35回となった北河内権利討論集会ですが、民主法律協会と、地域でいつもお世話になっている大阪中央法律事務所及び京橋共同法律事務所の皆さんのご協力を得て、これからも毎年開催していきますのでよろしくお願い致します。