事務局長・弁護士 清水 亮宏
1 政治的転換点における開催
2026年2月14日、2026年権利討論集会を開催いたしました。例年と同様、会場のエル・おおさかとZoomのウェビナー配信を併用したハイブリッド形式で実施しました。午後の分科会については、第2・3分科会がZoomとのハイブリッド形式で実施しました。参加者数は延べ180名となりました。2月8日に衆議院選挙が行われた直後であり、日本の政治情勢が大きく動いた中での開催となりました。
2 記念講演・中山徹さん「激動の政治情勢の中で 平和、民主主義、暮らしを守るために」
記念講演では、奈良女子大学名誉教授・自治体問題研究所理事長の中山徹さんをお招きし、「激動の政治情勢の中で 平和、民主主義、暮らしを守るために」と題してご講演いただきました。
【自維連立政権の政策】
中山さんは、2015年の安保法制以降、集団的自衛権の行使容認、安保三文書改定による敵基地攻撃能力の保有等、なし崩し的に憲法の理念が損なわれてきた現状や、自民・維新の連立政権下で憲法9条改正に向けた条文起草協議会が設置されるなど、改憲の動きが本格化していることに対して、強い警鐘を鳴らされました。また、防衛費増額の動きは国民生活に大きな影響を及ぼし、医療や福祉の削減に繋がるとも指摘されました。
【困った自治体の3類型】
国政の暴走を許している背景として、地方自治体の変質を挙げ、自治体を3つの困った類型に分類し、自治体が本来の役割を失っている実態を指摘されました。
1つ目は、福祉・教育などの市民生活を支える予算等を削り大型開発や規制緩和を優先する「開発型」、2つ目は明確な方針なく漫然と施策を進める「迷走型」、3つ目は国が進める基地建設、原発再稼働、核廃棄物処分場整備などに乗り、交付金などを確保し、地域政策を進めようとする「追随型」です。
【自治体に求められる役割と立憲型自治体の展望】
中山さんは、「ビルが建ち、道路が通り、商業施設が建設されても、地域の将来に関心を持っていない市民が多いまちは確実に衰退する」として、行政の重要な役割は、地域の将来を真剣に考え、共同する「自治能力の高い市民」を育てることにあると指摘されました。そして、憲法の理念を地域から具体化する「立憲型自治体」への転換こそが、今求められている対抗軸であると提起いただきました。
【護憲と共同】
まとめとして、厳しい情勢下で「小異を捨てて大同に就く」大規模な国民運動の必要性を訴えられ、憲法改正や不当な法制の危険性を市民にわかりやすく伝え、市民共同の要となる役割を果たしてほしいとの民法協への期待を述べて締めくくられました。
衆議院選挙の結果をどのように受け止めるべきか、迷いや不安がある中で、大変わかりやすく、前向きなお話をいただきました。中山さんが提起された立憲型自治体への転換や、地域の運動を広げていくことの重要性は、参加者がこれからの運動・取組みを考える上での指針の一つになると思います。
3 特別報告
特別報告として、鎌田幸夫弁護士より、労働者性に関する最近の情勢に関して、業務委託形式を採用し、労働者性を否定する動きが広がっている現状と、実態に即した判断基準の必要性についてご報告いただきました。
全大阪生活と健康を守る会の大口耕吉郎会長からは、生活保護基準引下げ訴訟の最高裁判決後に政府から示された方針(過去に遡って減額する)の問題点や、審査請求運動等を展開していくことが報告されました。
城塚健之弁護士からは、過半数代表制に関して、民法協内のPTで議論・作成している立法提言案の内容(立法提言をする趣旨、提言案の骨子等)について、ご報告いただきました。
4 決議
以下の5つの決議が採択されました。
高市政権の発足後、様々な課題が出てきています。山積する諸課題に対し議論を重ねた結果、喫緊の課題として以下の5本の決議を厳選し、採択しました。
「アメリカ・トランプ政権による国際法違反と力による支配に抗議する決議」
「インテリジェンス・スパイ防止関連法制の制定に反対する決議」
「大義なき大阪府知事・市長ダブル選、3度目の都構想住民投票の実施に反対する決議」
「大阪・関西万博の徹底的な事後検証とともに、カジノ計画の撤回を求める決議」
「労働時間規制緩和の方針に断固反対する決議」
ホームページ上で公表しておりますので、ぜひ、会員の皆様にご活用いただければと思います。
5 分科会
午後は、5つの分科会に分かれ、多角的な議論が行われました。各分科会のテーマは以下の通りです。いずれの分科会でも情勢を踏まえた活発な議論が行われました(ぜひ、後に続く分科会報告をご参照ください)。
第1分科会:労働事件における『最善の解決』を求めて-権利闘争の最前線
第2分科会:非正規労働問題こそ組合が解決する!
第3分科会:命と健康を守る
第4分科会:フリーランス・事業者の権利を実現しよう!
第5分科会:大阪万博を振り返り、大阪の未来を考える
6 全体懇親会の開催
コロナ禍によりしばらく実施できていなかった全体の懇親会を行いました。58名が参加し、参加者間の交流を図り、親睦を深め、意見を交わす貴重な機会となりました。個人的にも、大変楽しい時間を過ごすことができました。
7 終わりに
2月8日に衆議院選挙が行われた直後であり、日本の政治情勢が歴史的転換点を迎えた中での開催となりましたが、参加者の皆様が前向きになれる良い機会になったと思います。権利討論集会で議論した内容を、今後の運動の糧にしていただけると幸いです。
また、今年度も、関西MICの皆さまに、ハイブリッド開催の実施のために多大なご協力をいただき、トラブルなく開催することができました。誠にありがとうございます。






