労働法研究会報告 労働契約法18条(無期転換ルール) ――「不更新条項」に対しどのように たたかうか

2018年09月15日

弁護士 片山 直弥

1 はじめに
2018年8月4日、約1年ぶりに労働法研究会が開催されました。労働法研究会は、研究者、労働組合及び労働弁護士を会員として組織している民法協ならではの取り組みですが、最近では1年に1回程度の開催にとどまっています。今回は、ホットな論点のひとつである労働契約法18条(無期転換ルール)をテーマとし、「不更新条項」に対しどのようにたたかうかについて議論を交わしました。なお、参加者は21名でした。

2 研究会の流れ

(1) 弁護団からの報告

当日の研究会は、①雇止めが問題となった「ダイキン工業雇止め事件」(井上耕史弁護士)、「近畿コカ・コーラボトリング事件」(鎌田幸夫弁護士)、ある大学で雇止めが撤回された事件(谷真介弁護士)などについて各弁護団から報告を頂きました。
各報告では、各事案の概要のみならず、その後の学説や判例(特に、労働者の自由な意思に基づいてなされたものか、について厳格に判断をした山梨信用組合最高裁判決)を踏まえての検討がなされるなど、大変勉強になりました。

(2) 三井正信教授からの基調報告
その後、三井正信教授(広島大学)から「労働契約法18条について」と題して基調報告を頂きました。三井教授は、「労働契約法19条の基本構造と不更新条項」(民商法雑誌153巻6号849頁、154巻1号133頁)という論説を掲載しておられますように、不更新条項の有効性について研究しておられます。同論説にもありますように、三井教授は、「自動更新の基本合意=『当然更新されるべき労働契約を締結する意思』が認められれば、かかる基本合意が存する以上、……不更新条項は……民法 条1項により、あるいは……その基本趣旨に照らして、無効となる」との考えをもっておられます。つまり、自動更新を約する基本合意を「隠れた本当の契約」と位置づけ、不更新条項を「見せかけの契約」と捉えるのです。研究会では、不更新条項の効力についての学説の対立及び裁判例を整理いただいた上で、三井教授の私見について分かりやすく説明いただきました。

(3) 参加者との議論
三井教授の私見は、特に不更新条項なしに有期労働契約が反復更新されてきたケースで不更新条項の効力を否定する理論として傾聴すべき意見です。研究会で活発に議論が交わされたのも、三井教授の私見に関するものでした。

3 さいごに
不更新条項の効力をどのように争うか、については、運動面でも理論面でも確立されていない部分がまだまだあります。今後も労働法研究会では不更新条項の事案を集約・分析することでその両面をより高めていく必要があると考えています。それ以外にも研究会で取り上げてはどうか、というテーマがありましたら、ぜひ民法協までお寄せください。