「直接雇用申込みみなし規定」の活用――拡大派遣労働問題研究会の報告

2015年06月15日

弁護士 大 西 克 彦

1 2015年4月28日、大阪弁護士会にて、京都弁護士会の塩見卓也弁護士から、「2015年10月施行予定の直接雇用申込みみなし規定を過去の裁判事例にあてはめた場合の分析」と題するご報告をしていだきました。当日は派遣研究会のメンバーに加え、労働組合の方や一般の方も参加され、総勢20名を超えました。

平成24年改正労働者派遣法40条の6では、派遣受入期間制限違反の派遣(3号)、派遣法などの適用を免れる目的で、請負その他労働者派遣以外の名目で契約を締結し、労働者派遣の役務の提供を受ける場合(いわゆる偽装請負、4号)などに該当するときには、派遣先はこれらの違法行為を行った時点において当該派遣労働者にかかる労働条件と同一の労働条件で派遣労働者に対し直接雇用の申込みをしたものとみなすと制定されました。

そして本年10月に上記直接雇用申込みみなし規定が施行されることから、この規定を活用することで、これまで裁判所で救済されなることがなかった労働者を今後は救済できる可能性が高いため、これをいかに活用するかが派遣法に係わる者の課題であると派遣研究会では考え、労働組合の方などに広く知っていただくとともにその勉強をかねて、拡大派遣研究会と銘打って本会が開催されました。

 塩見弁護士の報告では、過去の23の裁判事例のうち、上記直接雇用申込みみなし規定の適用によって、労働者の救済が可能となる事例が16件、約7割にのぼるとの指摘がありました。過去の裁判所の事実認定を前提としたとしても、上記直接雇用申込みみなし規定により約7割の労働者に派遣先との直接雇用が認められることになるというものです。例えば、労働局から派遣可能期間違反の是正指導が出された事案では、これまで派遣先との労働契約が認められなかったものが、上記3号により派遣先との直接雇用が認められることになる可能性があるということになります。

また、直接雇用申込みみなし規定における成立要件、例えば「派遣先事業者の故意・過失」「適用を免れる目的」などといった解釈についても、施行前であるのでほとんど文献もないなかで、詳細な検討結果をご教示いただきました。

なお、塩見弁護士が拡大派遣研究会でお話された内容は労働法律旬報でご報告される予定のようですので、詳細はそちらを参考にしていただきたいと思います。

 直接雇用申込みみなし規定が施行されれば派遣労働者の裁判も大きく変わることが示唆される報告内容であったので、出席した方々は本年10月1日の施行後、直ちに上記直接雇用申込みみなし規定を活用したいとの思いを強く持ったものと思います。

間近に迫る施行に向けて今から準備をしていくことが必要であるので、労働組合の方などには派遣研究会へ参加していただき、活用に向けた議論を深めて行きたいと思います。