民主法律時報

過労死防止大阪センター結成総会について

弁護士 須 井 康 雄

 2015年3月13日、エル・おおさかで過労死防止大阪センター結成総会が開かれた。100名を超える方が参加した。
 これに先立つ2014年11月16日、過労死等防止対策推進法が施行されている。同法では、過労死に関する調査研究を行い、その成果を過労死防止のための取組に生かし、過労死を防止すること、このために、国、自治体、事業主その他の関係者が相互に密接に連携すべきことが求められている。
 そこで、大阪において、これらの取組を行う受け皿となり、国、自治体、事業主、市民の連携の要となる団体として、過労死防止大阪センターが結成された。

 当日は、大阪労働局の方から過労死等防止対策の取組等のご報告を受けたのち、精神科医でもある粥川裕平名古屋工業大学名誉教授から、メンタルヘルスのご講演をいただいた。スライドを多用した軽妙な語り口で、過労死等の機序、防止策等の説明があった。特に印象に残ったのは、「食う寝る遊ぶができない者は働くべからず」という話だった。うつ病から回復する場合、まず、食欲や性欲、睡眠欲など基本的な欲求から回復してくるとのことである。うつ病で休職する社員が遊びに行っていたなどと使用者が聞けば、ずる休みではないか、怠けているなどと思われてしまうが、正しくは回復に向かっていると評価すべきであって、科学的知見に基づいた物の見方の重要性を考えさせられる話だった。
 その後、過労死問題に取り組まれてきた労働組合の方やご遺族の方のリレートークがあった。そこでは、これまでの活動の内容や学校教育、労働局をはじめとした行政機関との連携の重要性などが語られた。

 最後に過労死防止大阪センターの規約等が読み上げられ、同センターが正式に設立された。同センターは、NPO法人ASU―NET内(電話06―6809―4926)に置かれる。同センターには、労働組合の枠を超えて、人が集まっている。加盟は個人単位である。会費が年間1口2000円(学生、院生は1000円)、1口以上である。
 過労死等防止対策推進法の施行を受け、大阪でのさまざまな調査研究、知識の普及を同センターが担っていくことになる。国の予算や行政のマンパワーを活用したこれまでにない取組が可能になる。ぜひ多くの方に加入していただき、過労死をなくす活動の一端を担っていただきたい。

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