民主法律時報

Q:教員の選考はどうなる?

Q:教員の選考は、今までとどう変わりますか。条例案の内容を教えてください。

A:条例案は、「教員の任用にあたっては、府教育委員会は校長の意向を尊重しなければならない」(18条1項)、「府教育委員会は、校長の意向に反する人事を行った場合、その旨及び具体的理由を議会に対して報告しなければならない」(18条3項)と定めています。
 これでは、教員の選考権限を基本的に校長に委ねることになり、従前と異なり、前述の校長の選任方法の変化と相俟って、いわゆる民間人校長が人事権を握ることになります。そして、教員採用試験合格者も、当該学校の校長の運営方針に合致するよう、その校長に気に入られるよう、就職活動を行うことになります。現場に混乱が生じることは必至です。子どもに教育を行う教員の採用が、任期付きの校長毎の個別判断に委ねられることは由々しき事態といえます。
 この点、地方教育行政法34条は、教員の任命について「教育長の推薦により、教育委員会が任命する」と定めていますし、教育公務員特例法11条は、教員の採用は選考によるものとし、その選考は教員の任命権者である教育委員会の教育長が行うと定めています。教員採用に関する客観的かつ統一的な基準に根本的な変更をもたらす本条例案は、地方公務員法及び教育公務員特例法に抵触するおそれがあります。

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