民主法律時報

2020年4月5日新型コロナウイルス 労働問題ホットラインのご報告

弁護士 藤井 恭子

1 ホットラインの概要

新型コロナウイルスの感染拡大と、それに伴う活動自粛要請の影響が3月中旬頃から一気に高まり、労働者や個人事業主、中小企業事業者の生活が加速度的に脅かされています。

民主法律協会では、コロナ流行による社会不安の高まりに鑑み、日本労働弁護団の呼びかけに応じて、緊急の労働問題ホットラインを開設しました。

ホットラインは、2020年4月5日日曜日の午前10時から午後5時まで開設し、民法協事務所に3回線の電話を繋いで対応しました。

このホットラインは、前日の新聞記事や当日のテレビニュースでの報道の効果から、数多くの労働者から電話があり、7時間の開設時間で合計66件もの電話相談に対応しました。

また、このホットラインは全国一斉で実施されたところ、全国で417件もの電話相談が寄せられたとのことです。

2 主な相談内容

寄せられた相談の中で、最も多かったのは、活動自粛に伴う休業あるいは業務時間の短縮中の賃金に関する相談でした。

使用者の判断による休業や業務時間短縮であるにもかかわらず、「不可抗力だと言われて給料が払われない」「シフトを減らされて減給になる」という相談や、「有給休暇で対応するよう指示される」「現在有休消化中だが有休がなくなった後はどうしたらいいか」などといった相談が、たくさん寄せられました。

使用者の判断による休業の場合、100%の賃金を請求すべきであり、使用者は最低でも平均賃金の %の休業手当を支払わなければなりません。休業中の賃金については、緊急事態宣言が継続する現在、労働者にとって生命を繋ぐための最も重要なテーマとなっています。

また、4月初旬という日程から、解雇や雇い止め、派遣切りなどの相談も寄せられました。

コロナを理由とする違法な整理解雇と思われる相談も寄せられ、コロナ流行による活動自粛が、労働者の生活に甚大な影響を及ぼしていることが伺い知れます。

その他にも、内定取り消しや、勤務先の感染防止に関する不安、給付金の受け取りに関する生活相談など、コロナ流行に関する様々な相談を受けましたが、当日は受話器を置くと、すぐに電話が鳴るといった状態で、対応しきれなかった相談も多数に上ると思われます。

3 今後の相談体制について

現在もコロナ流行は収束しておらず、4月7日には大阪府等を対象に緊急事態宣言が発令され、その後全国に拡大されました。また、緊急事態宣言は、当初5月6日まででしたが、5月31日まで延長されることが決まりました。

緊急事態宣言発令以降、活動自粛の要請が強まり、国民全体が先の見えないトンネルの中を進んでいるような不安に陥っています。

民法協では、労働者からの相談に特化して、次のような相談体制を臨時に構築し対応することになりました。
・コロナウイルス労働問題臨時ホットライン 毎週水曜日12 時~16時
・無料の電話相談申込メール受付

現時点では5月末までの臨時体制としていますが、今後の情勢次第では、6月以降も継続して相談対応をしていく必要があります。詳細は民法協ホームページをご覧下さい。

活動の自粛に伴い、あらゆるイベントや活動に制限がかかる中ですが、このようなときだからこそ、労働者の相談に対して、電話やメールを使ってできる限り対応をしたいと思います。

全ての労働者が、この困難を乗り切れるよう、会員の皆さまのお力をお貸しください。
ご協力を、どうかよろしくお願いいたします。

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